研究課題
若手研究
本研究の目的はローマ相続法における贈与(死因贈与・生前贈与)の果たした役割を明らかにすることであった。最終的に古代ローマにおける死因贈与の役割について、明確な答えを導き出すことは現時点ではできていない。しかし考察の過程で死因贈与と生前贈与の区別について、先行研究においては贈与が撤回可能であるかが区別の基準として述べられているが、その基準自体は古代ローマ法においては機能していないのではないか、との疑問を抱かせることができた。
ローマ法
本研究の研究対象は主に古代ローマ法における相続と贈与であった。しかし発表した諸論文においては適宜その他の時代の法、そして現代法との関連についても検討を加えた。現代において、法律学習の面でも立法あるいは法改正の場面においても、ローマ法を議論の出発点とすること、あるいは暗黙の裡にローマ法を含む古代の法を出発点としていることがある。そのような場合にローマの相続における死因贈与や贈与の撤回等の問題について、現代法との比較で考える手がかりを提供することができた。