研究課題/領域番号 |
20K13326
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
岡野 誠樹 立教大学, 法学部, 准教授 (50756608)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 司法 / アメリカ憲法 / アメリカ民事訴訟法 / 比較憲法 / カナダ憲法 |
研究実績の概要 |
研究実施計画で掲げた各レベルの課題について、一定の進展をみた。特に(4)として挙げていた日本法の検討のレベルで、最近の判例、憲法学説の展開について本研究課題の視点からの現時点での位置づけを定めることができた。年度内には公表に至らなかったが、論究ジュリストに論文(「司法にとっての「社会」の変容と違憲審査「活性化」のゆくえ」)として掲載される内容である。 前年度から引き継いだ具体的課題については、まだ成果の公表にはつなげられていないが、継続して研究に取り組んだ。従前の構想は二本柱で、再言すれば、①陪審、上訴、アミカス・キュリー等の制度的側面からのアメリカ司法へのアプローチと、②クラス・アクション、団体訴訟を切り口とした日米司法比較とであったが、各々の検討を深められたことに加え、さらに司法判断適合性(justiciability)に関する比較法的考察を独立に進めたことで、①と②の相互連関についても、ある程度の見通しを得ることができた。それに対して、刑事手続方面の研究は、やや停滞してしまったように感じられるが、関心は持続しており、辛抱強く作業を続けたい。 また、今年度の新たな展開として、本研究課題内発的な動機からではないもののカナダ法研究に取り組んだことから、それを日米比較をいわば立体化させる方向につなげる展望が得られた。この観点は、上記論文にも取り入れてあるほか、これも年度内の公表に至らなかったが、共著による比較憲法教科書中の1章として書いた「裁判の中の外国法」につながっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公表まで至らずに渋滞している研究内容がやや膨張している憾みがあるものの、概ね、当初設定した研究課題に沿って着実に研究を遂行できていると考える。カナダ法にいわば脱線したのは、想定外の展開であったが、本研究課題の中軸である日米比較にとっての有用性を今年度中に確認することができ、比較的に摩擦を起こさずに研究プログラムを再設計することができたように思う。全体としてみればほぼ予定通りの進度であると考え、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究課題の最終年度に当たることから、一定の見通しが得られた研究内容を着実に公表につなげられるよう、特に留意して研究活動を進めたい。本研究課題の期間を通じて分析を進めたアメリカの判決テクスト群について、暫定的であれ得られた知見をまとめることを、目標として特に意識する。
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