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2023 年度 実績報告書

国際投資法と国内法の交錯における投資家の法的地位の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K13330
研究機関大阪大学

研究代表者

二杉 健斗  大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (30824015)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード国際投資法 / 投資条約仲裁 / 国際法と国内法 / グローバル法 / EU法
研究実績の概要

最終年度は、ICSID条約に基づかない投資条約に注目し、その手続法的性質を検討した。特に、前年度に研究を行ったEU域内投資条約仲裁について分析対象を広げ、172件の仲裁を特定し、全体的な判断傾向を整理するとともに、うち74件の非ICSID条約仲裁手続きに注目して分析を行った。その結果、前年度に検討したGreen Power v. Spain仲裁においては、仲裁地がEU域内にあったことを理由の1つとして、EU法に基づく仲裁管轄権への抗弁が初めて認容されたのに対し、同じくEU域内に仲裁地が置かれた同時期の複数の仲裁(Triodos v. Spain、Mercuria Energy v. Poland II、WCV and Channel Crossings v. Czechia等)では、抗弁が棄却されていることが分かった。このことは、仲裁地の国内法に手続的基盤を持つとされてきた非ICSID条約仲裁は、少なくとも仲裁廷自身にとっては、何らかの意味で「国際的」な手続きであると認識されていることを示唆する。他方で、これら仲裁廷が手続的な「国際化」を追求する一方で、仲裁地の裁判所での取消しは粛々と行われており、仲裁廷と国内裁判所との間で仲裁手続の性質に係る認識のズレが生じていることも分かった。この点を理論的に分析するために、国際商事仲裁の法的性質をめぐるEmmanuel Gaillardの議論などを参照しつつ、国際法と国内法の双方に基盤を持つ投資条約仲裁の特殊性も加味して、非ICSID条約仲裁の「国際化」の理路および実践的帰結について検討を行った。
これに加え、研究期間全体を通じて、ICSID条約仲裁における取消手続きのあり方や、外資規制法制が投資条約仲裁に与える影響等を分析することにより、国際法と国内法の狭間に立つ投資家という法的アクターの地位についてより深い理解を得ることができた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 安全保障化する外国直接投資―対内・対外投資規制の投資条約による統御2024

    • 著者名/発表者名
      二杉健斗
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 96 ページ: 30, 35

  • [雑誌論文] Permanent Court of Arbitration (PCA)2024

    • 著者名/発表者名
      Nisuke Ando, Shotaro Hamamoto, Kento Nisugi
    • 雑誌名

      Max Planck Encyclopedia of Public International Law

      巻: Online Edition ページ: 1, 25

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Piercing the ‘National’ Veil of State-Backed Investors in ICSID Arbitration: Beyond Broches Test and ARSIWA2023

    • 著者名/発表者名
      Kento Nisugi
    • 雑誌名

      OSIPP Discussion Paper

      巻: E-003 ページ: 1, 27

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 学界回顧ー国際法2023

    • 著者名/発表者名
      越智萌、岡田陽平、二杉健斗
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95 ページ: 197, 206

  • [学会発表] 非ICSID条約投資仲裁は国際法上の仲裁か:EU域内投資仲裁をめぐる法動態2024

    • 著者名/発表者名
      二杉健斗
    • 学会等名
      国際法研究会

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公開日: 2024-12-25  

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