研究課題/領域番号 |
20K13337
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
田平 恵 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (70632686)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 垂直型企業結合 / 混合型企業結合 / 市場閉鎖効果 / 協調的効果 / 違法判断基準 / 問題解消措置 |
研究実績の概要 |
本研究は、非水平型企業結合(競争関係にない企業同士の企業結合)による反競争効果発生のメカニズムと、立証水準を明らかにすることを目的としている。2022年度は、昨年度に引き続き、日・米・欧州の非水平型企業結合事例を検討対象とし、個別事例における市場構造・取引慣行・商品の特性等、違法判断基準に必要な要素を抽出する予定であった。 2022年度の研究実績は次の通りである。第一に、昨年度に引き続き、欧米の規制の動向把握につとめた。欧州・米国における特徴的な事例を取り上げ、(1)違法判断基準、(2)問題解消措置、(3)手続それぞれの側面から整理・検討した。 第二に、企業結合審査における反実仮想分析に注目した。企業結合審査における反実仮想分析は、企業結合がなかった場合に生じる競争状況をいう。企業結合前の競争状況と、企業結合によって予測される半実仮想の状況に変わりがなければ、企業結合による影響がないとして判断されることになる。英国の競争当局が企業結合審査における反実仮想の位置づけをガイドライン等で公表し、個別事例の審査においても反実仮想分析を利用していることから、これらの状況を取り上げ、整理・検討した。その成果の一部を、公正取引865号に掲載した。 第三に、日本の競争当局である公正取引委員会が審査対象とする混合型企業結合事例についても、審査内容が以前に比べて詳細に公表されるようになった状況に注目し、個別事例の整理・検討を行った。その成果の一部を、ジュリスト1571号に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究対象の事例選定・分析に時間を要し、当初の予定通りに進まなかった。次年度は、遅れを取り戻すよう、注力したい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き欧米の動向把握を続けるとともに、これまでに整理・検討した内容を踏まえ、欧米の規制の特徴を明らかにする予定である。そして、日本における規制との異同を明らかにし、今後の規制のあり方に対する見方を提唱したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響等により、予定していた出張ができなくなったことやオンライン開催が多くなったこと等から、その分が次年度使用額になっている。新たに文献を購入する必要が生じたため、その費用に充てる予定である。
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