今年度は最終年度であり、できる限り当初の研究計画の実施を図った。延期していた海外調査を行うことができ、仮説を確認することができた。また、学外の研究会に参加し、複数回報告した。所属している研究会(北大社会保障法研究会、ドイツ社会保障研究会など)で報告した(都合8回)。 さらに、本研究にも関わる視点から、年金について研究会でコメントを行った(体制転換と法研究会・2023年7月1日、都合1回)。 文献研究では、引き続きドイツ介護保険法における相談援助の検討とともに、相談援助全般や専門職に関する文献に対象を広げた。また、例年通り書籍を紹介する2本の論文を公表した。そして、本研究の成果を活かした論文を2本公表できた。うち1本は大学紀要であり、説明義務について裁判例を分析した論文である。 海外調査は、本研究における重要な柱である。当初から予定した介護保険に関する相談援助の実態について、ドイツベルリンの家族介護者支援と介護金庫を訪問して、現状の支援の確認と問題点についてヒアリングを行った(2024年3月19日)。また、ドイツの社会保障について研究する研究会が再開され、本研究について報告した。そして、研究会のメンバーとは、介護者支援と介護金庫を訪問するだけではなく、さらに本研究に関連する介護職や労働市場の現状、就労支援など多岐にわたる分野についてヒアリングを行った(2024年3月17日~21日)。今後も、継続的に研究会を開催し、本研究からの進化を図るとともに、研究者間の相互交流による研究の展開を行う予定である。 研究期間を通じて、研究会報告や論文、書籍の執筆によって本研究の推進を図ってきた。4年間で、研究会報告は29回、公表した論文は9本、書籍は4冊(いずれも分担執筆)にのぼり、本研究の内容を深めるとともに、本研究の成果を一定程度公表することができた。
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