研究課題/領域番号 |
20K13340
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊晴 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (50757515)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 労働者の傷病 / 社会経済委員会 / 労働医 |
研究実績の概要 |
本研究は、「傷病に陥った労働者の意思を適切にくみ取りつつも、その傷病の状態および就業能力に応じた適正な処遇を実現できるような労使対話システムを構築することはできないか?」という問いを設定し、その問いに対し一定の示唆を得るため、フランスにおける実証的調査を行うものである。本年度は、2年目以降のインタビュー調査にむけて、調査項目をできるだけ緻密に策定するための作業をおこなった。当初は、フランスに赴き資料収集を行い、制度分析を進める予定であったが、コロナ禍により渡航が困難となったことから、郵送等が現実的に可能な刊行物に限定して、文献調査のみを進めた。その結果、諸組織のうち労働医が労使対話に果たしている貢献は大きいものの、労働医の人員不足などにより、その役割は看護師等が代理して行うケースが多いことが観測された。もっとも、看護師は労働医ほどの専門性はもたず、また他機関と連携できる立場にもないため、他機関とのコミュニケーションはあまり促進されていない問題が指摘されている。また、フランスの調査と併せて、わが国の労働組合、産業医、労働安全衛生委員会等が傷病に陥った労働者の適正処遇実現に向けた労使対話を促進するうえで有している課題を調査する予定であったが、こちらもコロナの影響によりインタビュー調査等が困難となったため、実施を見合わせた。わが国では、傷病に陥った労働者の処遇に関する労使対話を促進すべきような直接的な法制度は存在しないため、インタビュー調査が不可欠である。このことから、関係者と協議をおこない、来年度以降の実施可能性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究はフランスへの渡航調査が不可欠であるが、コロナ禍によりフランスはロックダウンが断続的に実施されており、渡航自体が事実上不可能な状態となっており、資料の収集もままならないため。
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今後の研究の推進方策 |
研究が当初の予定どおりに実施できるかはコロナ禍の推移したいと言わざるを得ないが、前提となる文献調査が不十分なまま次年度以降のインタビュー調査等を進めても十分な成果は得られないため、コロナ禍の推移を慎重に見定めつつ、研究期間の延長も視野に入れた方策を検討したい。まずは資料の収集による現状と課題の分析に注力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によりフランス渡航が事実上きわめて困難となったため。
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