令和3年10月及び令和4年9月に、企業自身に企業犯罪の予防と摘発を促すインセンティブストラクチャーに関して、個人責任追及の重要性や求められる調査協力、自主的な報告の内容を明確にする新たなガイダンスが公表されたことも踏まえ、コンプライアンス・プログラムの実効性に焦点を当てつつ、インセンティブストラクチャーの総括を行った。 具体的には、企業犯罪を法と経済学の観点から研究するJennifer Arlen氏、関連する米国司法省のガイドライン(Evaluation of Corporate Compliance Programs)の作成に関与したDaniel Kahn氏や、コンプライアンス・プログラムの実効性を行動経済学やデータサイエンスの観点から検討しているEugene Soltes氏らと継続的な協議の機会を設けた。その議論をまとめ、令和4年4月には京都大学にてアジャイル・ガバナンスシンポジウムを開催し(https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/rcss/topics/information/post-10.html)、同年10月には米国ワシントンにて4th White Collar Crime Workshopを開催した(https://kaac.or.jp/workshop2022/)。4月のシンポジウムにおいては、企業制裁制度のデザイン‐企業を動かすインセンティブ設計というセッションにパネリストとして登壇し、10月のWorkshopにおいては、The Use of DPAs Incentive Structure to Encourage and Detect Corporate Crimesというセッションにモデレーターとして登壇した。 また、令和4年度においても、経産省「Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会」の委員として、同委員会において引き続きインセンティブ設計の観点から検討を続けている。
|