従犯の意義に関し判例・通説が採る促進関係説の論理からは、結果の現実の間接惹起がなく、その危険が認められるにとどまる場合でも従犯として処罰されるおそれが生じる。これに対し、本研究によって精緻化した結果の不良変更という基準により、間接惹起の危険では処罰根拠として充分でないことを明晰化でき、また、処罰されるべき従犯の範囲を精確に基礎づけることができると考えられる。また、この考えは、限縮的正犯概念と統一的正犯体系の違いによらず妥当するとの知見を得た。これらの点に、本研究課題の学術的・社会的意義を見出し得る。
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