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2021 年度 実施状況報告書

近年の企業統治改革における株主の機能――機関投資家の属性に応じた法的位置づけ――

研究課題

研究課題/領域番号 20K13369
研究機関大阪大学

研究代表者

津野田 一馬  大阪大学, 法学研究科, 准教授 (80756627)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードコーポレート・ガバナンス / 企業統治 / 機関投資家 / 会社法 / 金融商品取引法
研究実績の概要

本研究は,さまざまな属性の株主や機関投資家が,日本の上場会社のコーポレート・ガバナンスにおいて,いかなる役割を果たしうるかを分析するものである。
本年度は,特殊な株主構成を有する上場会社として,上場子会社を取り上げ,特に子会社役員人事の観点から検討を加えた(論文「親子上場再考」)。同論文では,親子上場にはメリットとデメリットの双方があることを前提に,現在の日本における親子上場に対する規制の方向性について考察した。現在の日本では,子会社少数株主保護のために,親会社による子会社役員の選解任権限を制約すべきであるとする議論が注目を集めている。しかし,親子上場の弊害に対処するための法規制にはさまざまなものがありうる。たとえば,支配株主の忠実義務を強化するといった手法も考えられる。論文では,役員の選解任権限を制約するアプローチは,他のアプローチよりも親子上場のメリットを減殺する程度が大きく,親子上場それ自体に対する否定的評価を前提としてはじめて正当化されることを論じた。
本年度の研究は,日本に特有の制度ともいわれる親子上場に対する規制の今後の方向性について示唆を与える。さらに,従来のコーポレート・ガバナンスに関する議論では分散所有型の株主構成を有する上場会社が明示的・黙示的に前提とされてきたが,今後は,典型的な分散所有型以外の株主構成を有する会社についても分散所有型の会社と連続的に検討を深める必要がある。本年度の研究は,そのような研究の第一歩としての意味を有する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度以前から,すでに研究に若干の遅れが生じていた。新型コロナウイルス感染症による移動制限によって研究活動に支障が生じたこと,および,主に上場子会社等の分野において議論の進展が予想以上に早かったことがその理由である。
本年度も,昨年度以前の遅れを取り戻すには至らず,計画からの若干の遅れが発生している。

今後の研究の推進方策

2022年度においては,引き続き,先進諸国における株式保有のあり方や,機関投資家・資本市場をとりまく社会的・政治的・経済的実態およびそれを説明する社会科学的理論についての分析を進める。並行して,コーポレート・ガバナンスと資本市場に関連する日本法の展開,特に金融機関に関する規制について分析する。

次年度使用額が生じた理由

前年度以前にすでに次年度使用額が生じており,今年度も研究会報告のための出張が生じなかったため,本年度も次年度使用額が生じた。来年度以降は,出張を伴う研究会に参加する場合には,そのための旅費・準備費として使用する。そうでない場合には,書籍・備品の購入等に支出する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 親子上場再考(上)――子会社役員人事の視点から2021

    • 著者名/発表者名
      津野田一馬
    • 雑誌名

      旬刊商事法務

      巻: 2277 ページ: 4-12

  • [雑誌論文] 親子上場再考(下)――子会社役員人事の視点から2021

    • 著者名/発表者名
      津野田一馬
    • 雑誌名

      旬刊商事法務

      巻: 2278 ページ: 12-19

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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