研究課題/領域番号 |
20K13369
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津野田 一馬 大阪大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80756627)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 役員報酬 / 役員人事 / 株主総会 / 取締役会 |
研究実績の概要 |
本年度は,上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する研究を引き続き進めた。 昨年度には特殊な株式保有構造を有する会社として親子上場を分析したが,今年度は昨年度の研究を発展させ,子会社役員人事に関する分析を進めた。「Shinwa Wise Holdings子会社解任取締役からの損害賠償請求事件の検討」では,①同一の企業グループに属する会社であるからといって,必ずしも取締役としての適格性を同一の基準で判断すべきことにはならないため,子会社取締役としての適格性は親会社取締役としての適格性を経由せず直接に判断すれば足りること,②会社の経営権に争いがある場合には双方の主張が株主に明示されることが重要であり,「お家騒動を外部に見せるのはみっともない」といった発想は有害であることを示した。 「株式買取請求権を行使し仮払いを受けた旧株主による株主総会議事録の閲覧謄写請求」では債権法分野の法技術的な側面が検討の中心であったが,コーポレート・ガバナンス論に関連する側面としては,①株主総会議事録の閲覧謄写請求権は株主による情報収集手段として必ずしも十分なものとはいえず,特に充実した株主保護が要請される企業買収の場面においては株主総会議事録閲覧謄写請求権に依拠して株主が自らの権利を擁護することは難しいこと,②したがって,組織再編の局面において元株主に閲覧謄写請求権を認めるべき実質的根拠を,友好的買収における利益相反への対処に求めることは困難であることを論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で,昨年度以前にすでに遅れが生じていた。本年度は概ね通常通りの研究活動をすることができたものの,昨年度以前の遅れを取り返すには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,日本の上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する研究を続ける。 本研究は上場会社の株式保有構造や各種の機関投資家がコーポレート・ガバナンスに与える影響を分析することを主眼としており,昨年度以前は親子上場など特徴的な株式保有構造を有する上場会社の分析を進めることができた。本年度は親子会社に関する研究を引き続き公表できたものの,どちらかというと,取締役会の研究に重点を置くこととなった。 今後は,上場会社における株式保有構造とコーポレート・ガバナンスの関係について,国民経済における所得分配や金融構造といった,よりマクロ的な観点を,可能であれば導入したい。特に,現在は,公的年金・企業年金を中心とする社会保障制度が金融仲介機関を通じて上場会社のコーポレート・ガバナンスに与える影響に関する分析を進めており,今後,論文の形で成果を公表することをめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の繰越金に加え,いわゆるウィズコロナ対応により,研究会のほとんどがオンラインとなり,予定されていた旅費を使用しなかった。
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