研究課題/領域番号 |
20K13370
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金 ミンジュ 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (50820601)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 共同所有 / 共有 / 共同相続 / 組合 / 登記制度 / 公示制度 / 団体財産 / 法改正 |
研究実績の概要 |
2023年度には、日本の共有制度の改正(2021年所有者不明土地問題関係の民法等一部改正)に関する研究を中心に、日本国内の学会等で報告を行う一方、韓国の学会にも参加しドイツ団体法の最新の改正動向についての研究を発信した。 具体的には、2023年12月23日に日本土地法学会中国支部研究会で「令和3年民法・不動産登記法の改正等について」というテーマで、共有法の改正内容について報告を行った。なお、2024年1月19日には、広島大学法学部特別公開講座「九州と同じ広さの所有者不明土地って、どういうこと?」を開催し、「改正法における共有者間の利害調整のルール」というテーマで報告とディスカッションを行った。また、2024年3月30日には、日本土地法学会中国支部・広島大学法科大学院・法学部共済の「令和3年民法・不動産登記法の改正とその影響ー所有者不明土地と相続登記の義務化等ー」というシンポジウムで、「所有者不明土地問題に対する共有制度の見直し」というテーマで報告を行った。 一方、民法上の共同所有団体の一つである組合とその公示方法について大きな改正が行われたドイツ法の動向について、2023年10月14日に広島修道大学で開催された中四国法政学会で「ドイツ組合法改正と日本法への示唆」というテーマで報告を行い、2023年6月23日には、韓国民事法学会・韓国消費者法学会・韓国家族法学会共同主催の学術大会で(韓国・済州大学校)、「ドイツ組合法の改正と団体の所有形態に関する考察ー韓国民法における示唆を中心にー」というテーマで比較法研究の国際的発信をした。 さらに、ドイツ・日本・韓国の団体と共同所有に関する最新動向を含めて、三国間の団体法制について比較法的検討を行った『団体と共同所有の法理』(信山社、2024年3月)を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、本研究の課題である「共同相続財産とその公示方法」と関連して、2021年度に成立した民法等の一部改正(令和3年法律第24号)を中心に改正された共有法の内容を分析・検討し、その理論的・実務的影響について国内学会等で(3回)研究成果を発信した。 また、本課題と関連してより本質的な問題である民法上の法人でない団体全体に関するルールとその公示システムについて、ドイツ法の最新の改正動向を所在として日本と韓国法に与える示唆について国内外の学会で発表した(2回)。 さらに、これらの研究成果を集めて、ドイツ・日本・韓国における共同所有制度とその公示方法を中心に、比較法的な検討を行った『団体と共同所有の法理』(信山社、2024年3月)を出版した。
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今後の研究の推進方策 |
今後には、本研究課題を遂行する中で明らかになった日本民法における団体とその財産公示方法の欠如という側面を中心に比較法的観点から、より具体的な解釈論的・立法論的提言を試みる。特に、2021年度に成立した民法等の一部改正(令和3年法律第24号)の実効性及び、共同所有制度のあり方について引き続き調査・分析し、国内外の学会で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により当初支出予定であった海外渡航計画が延期され、海外出張費用として計上した額を研究成果の出版費及び図書購入の費用として使用した。次年度残額が少ないため、図書の購入費用などで使用する予定である。
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