研究課題/領域番号 |
20K13386
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
王 威シ 早稲田大学, 法学学術院, その他(招聘研究員) (40839552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲートキーパー / 競争法 / 経済法 / プラットフォーム |
研究実績の概要 |
2021年度に、日中欧米各法域はそれぞれのプラットフォーム規制に関する法律・ガイドラインなどを公開・施行した。各法域の具体的な規制手法は完全に一致ではないが、「ゲートキーパー」と呼ばれる巨大プラットフォーム企業を中心に規制体制を強化することに共通している。とくに、EUとアメリカはともに専門立法によりゲートキーパー企業に自己優遇禁止などの義務を個別に負担させるアプローチを採用することは、重要な展開である。これらの新展開を背景に、2021年度に情報通信学会、日中共同シンポジウム「新技術と法」などで中国とEUのプラットフォーム規制新展開に対する考え方、Epic v. Apple事件のようなプラットフォーム企業の使用手数料関連問題の判断基準などのプラットフォーム規制に関するトピックを報告し、専門家と議論を交わした。また、従来プラットフォーム企業に消極的な中国が一転していくつかのプラットフォーム企業の反競争行為を規制したことを、論文「新しい段階へ-中国競争法のプラットフォーム規制の現状と新動向-」(『比較法学』55(2) 掲載)で検討した。EUとドイツのプラットフォーム企業規制状況についても論文を執筆して投稿した(『比較法学』56(1) 掲載予定)。 本年度の研究実績により、プラットフォーム企業に対する各法域の規制アプローチが「ゲートキーパー規制」に収斂している傾向があることが明らかになった。したがって、「ゲートキーパー規制」のあり方と実効性確保は次の重要な課題になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に、ゲートキーパー規制というトレンドについて精力的に調査・研究活動を行い、論文と学会発表を実現した。本来であればEU・アメリカ・中国に出張して現地専門家にヒアリングする予定だったが、コロナの影響で海外への研究出張を延期せざるを得なかった。しかし、日本国内における研究出張の解禁により日本にいる研究者とのより活発的な交流ができるようになり、ゲートキーパー規制という研究の重心も明らかになったため、研究計画全体はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2022年度に、最終成立予定である欧州デジタル市場法(DMA)、アメリカの一連のプラットフォーム規制法案に対する検証を行う予定があるほか、欧州デジタルサービス法(DSA)、中国のアルゴリズムプロモーション管理規定などに対する研究を行い、プラットフォーム規制とアルゴリズム・データ・言論・労働などの幅広い問題に対する検証も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来2021年に欧州、中国などに出張して現地調査を行う予定があるため、助成金を温存していたがオミクロン株の影響で実現できなかった。2022年度に国内・海外出張調査費用として使用予定である。
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