研究課題/領域番号 |
20K13407
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
田中 有佳子 (坂部有佳子) 青山学院大学, 国際政治経済学部, 助教 (50732715)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 平和の配当 / 紛争後社会 / アチェ / 東ティモール / リベリア |
研究実績の概要 |
本研究は、東ティモール、アチェ、リベリアの多国間比較分析を行い、元兵士を含む内戦の影響を受けた若者が暴力行為に加担するまでの因果メカニズムを、インタビューとサーベイ調査により新たなデータを抽出し、体系的に明らかにすることを目指す。元兵士間の構造関係の維持、社会経済状況への不満、選挙や犯罪組織の存在の3つの要因を取り上げ、元兵士を取り巻く紛争中と紛争後、世代間のダイナミクスを射程に含める。議論の一般的妥当性の確保を目指し、安全保障、開発等複合的な視点による再統合施策への示唆を得ることが可能となる。 国内紛争後の平和の配当施策の一である元兵士の社会再統合は、社会上の期待に反する帰結として、元兵士が通常の生活を営めず一般犯罪等の暴力に加担することが観察されてきた。先行研究は、その過程に課題があるとして各国の事例や一般兵士を分析対象としてきたが、紛争後の経過年数を踏まえ、社会再統合の中長期的な帰結を分析する時期にある。各国で懸念されているのは、内戦の影響を受けた若年層・青年層が暴力に加担している点である。彼らの中には、元兵士の家族への優遇、就職に苦戦するといった不満があるといわれる。中長期的にみると、元兵士が家族・子供を含めて世代間の貧困の連鎖に陥いるほか、子供兵の一部がストリートチルドレンと化すケースも観察される。 初年度は、分析対象となる3か国における元兵士を取り巻く状況を把握するため、基本的な資料収集と分析に努め、現地におけるサーベイ調査の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析対象である3か国の基本的な資料・情報収集を行った。特にリベリアに関しては、近年の元兵士へのインタビュー結果を精査することにより、元兵士を取り巻く状況の把握に努めた。2020年度は、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、現地調査の実施はかなわなかったものの、研究期間が2か月であるなか、上記の研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
分析対象の3か国における現地調査は、計画変更も含め慎重に方策を検討する。特にリベリアと東ティモールにおけるサーベイ調査実施の可否あるいはその実施時期について、新型コロナウィルス感染症の状況、また東ティモールにおいては2021年4月に発生した首都ディリにおけるサイクロン災害状況の影響も見極める必要がある。当面は現地の協力者との連携のもと、調査票の内容の整理と調査票の作成に専念する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究代表者の産前産後の休暇、育児休業の取得が生じ、事業の中断が余儀なくされたため。新型コロナウィルス感染症の影響により計画には変更もありうるが、滞りなく海外出張が可能であれば、該当の次年度使用額の一部は東ティモールおよびリベリアにおけるサーベイ調査に充当する。そのほかは主に関連文献、データ収集と整理のための費用等に充当する。
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