研究課題/領域番号 |
20K13408
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
久保 浩樹 明治学院大学, 法学部, 講師 (40789559)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分極化 / イデオロギー / 政党 / 比較政治 / 計量分析 / アメリカ政治 / 選挙研究 / 議会研究 |
研究実績の概要 |
政党システムのイデオロギー的分極化は、世界でどのように、なぜ異なっているのだろうか?アメリカの民主・共和の二大政党間のイデオロギー的分極化が深刻化し、政治に停滞をもたらしていることは広く知られている。しかし、既存の膨大なアメリカの分極化研究は、分析対象をアメリカ一国に集中して、理論的・歴史的に分析する一方で、比較の視野からアメリカの分極化を他国の分極化と国際比較する研究は皆無に等しかった。世界各国の分極化がどの程度異なり、アメリカの政党の分極化を世界の比較の中に位置付け、さらに分極化の程度の違いをもたらす要因も比較論的に明らかにする。そこで、1)アメリカの分極化がどのように他国と異なっていて、どの程度国際比較の観点から深刻なのか?2)分極化は世界各国でどのように異なっていて、その分極化の程度の違いは何によって生じるのか?という以上の二つの問いを比較の視座から明らかにする。 研究の第一段階が、多国間比較可能なイデオロギーデータである。 政党や有権者が左右イデオロギーのどこに位置するのかを比較可能な形で測定することが不可欠であるが、有権者の左右イデオロギー認識に関わるサーベイエラーを 取り除く計量政治学的手法を用いて、この問題を解決した。応募者はすでに国際的な有権者サーベイであるCSESを対象にこの方法を用いて、サーベイエラーを取り除き、多国間比較可能なイデオロギーデータを作成した。この研究成果を土台に、政党と有権者の分極化指標を作成し、世界各国の分極化のパターンを数値化した。 今後は研究の第二段階として、政党サイドの選挙戦略や政治エリートの行動に関するデータを収集する。近年大量に蓄積されている政党の行動や戦略に関する専門家サーベイなどを用いて、政党や政治エリートの戦略的行動や有権者への支持獲得戦略などを指標化し、データセットの一部として組み込みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
政党政治のイデオロギー的分極化という現象をアメリカも含めて国際比較をするのが本研究の最大の目標である。この課題の最大の難点は、左右のイデオロギー対立軸の意味付けや解釈が人により異なっている中で、どのようにして国際比較可能なイデオロギー的尺度を作り出して比較するのか?という点である。 政党システムのイデオロギー的分極化が、本研究の課題であるが、より具体的には1)有権者のイデオロギー的分極化の国際比較、2)政党のイデオロギー的立場の分極化の国際比較、3)アメリカの50の州レベルの分極化の地方政治比較、という三つの観点から、アメリカの分極化を「外」と「内」から分析する。前二者は、アメリカとアメリカ以外の国家との国際比較による分極化の分析である。具体的には、先述した多国間の有権者サーベイを用いた政党の分極化と有権者の分極化を従属変数とし、国家レベル、政党レベル、個人レベルという三つのレベルの要因という独立変数からエリートと有権者双方の分極化を分析し、アメリカをその中に位置付ける。 多国間比較可能なデータの構築が、本研究の最大の重要課題であるが、その第一段階が、多国間比較可能なイデオロギーデータである。 政党や有権者が左右イデオロギーのどこに位置するのかを比較可能な形で測定する ことが不可欠であるが、有権者の左右イデオロギー認識に関わるサーベイエラーを取り除く計量政治学的手法を用いて、この問題を解決した。応募者はすでに国際的な有権者サーベイであるCSESを対象にこの方法を用いて、サーベイエラーを取り除き、多国間比較可能な イデオロギーデータを作成した。この研究成果を土台に、政党と有権者の分極化指標を作成し、世界各国の分極化のパターンを数値化した。
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今後の研究の推進方策 |
政党政治のイデオロギー的分極化という現象をアメリカも含めて国際比較をする のが本研究の最大の目標である。この課題の最大の難点は、左右のイデオロギー対 立軸の意味付けや解釈が人により異なっている中で、どのようにして国際比較可能 なイデオロギー的尺度を作り出して比較するのか?という点である。筆者はすでに 海外の共同研究者と共に、有権者サーベイを用いて国際比較可能な、有権者のイデ オロギー的位置の推定に成功した。 国際的な有権者サーベイであるCSESを用いて、先進国、発展途上国双方を含めた40カ国以上の政 党と有権者のイデオロギーを国際比較可能なかたちで数量化し、さらに、各国の有 権者の左右オデオロギーの認知バイアスの除去に成功した。この分析結果をもとに、さらにこの研究を発展させ、政党と有権者それぞれの分極化の国際比較という課題にこの研 究成果を応用した。 今後は、政党の戦略や行動や組織などといった要因に踏み込んで分析したい。第二段階として、政党サイドの選挙戦略や政治エリートの行動に関するデータを収集する。近年大量に蓄積されている政党の行動や戦略に関する専門家サーベイ (Democratic Accountability and Linkages Project, Chapel Hill Expert Survey, V-Party Dataset)などを用いて、 政党や政治エリートの戦略的行動や有権者への支持獲得戦略などを指標化し、デー タセットの一部として組み込みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の予定は、海外での学会発表なども考慮し、多めに予算を組み込んで計画を立てていた。しかしコロナ下のため国内外の学会が中止、もしくはオンライン開催になるなどして、旅費の執行が行われなかった。そのため、全ての予算を執行することができなかった。今後は、コロナが沈静化し、国内外の旅行に行けることを予想し、その分の予算の執行を予定するとともに、パソコンの買い替えなど、大型の予算も執行する予定である。
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