私たちは議会制民主主義を当然のものと考える一方で、選挙や議会が十分な役割を果たしていないとの批判は世界的に高まっている。例えば、いわゆるポピュリズムがこうした既存の制度が等閑視していた人びとの意見を集約したとの見解がある。ファシズム台頭期のイタリアでは、既得権益の道具などとして、議会主義は厳しい批判にさらされていた。この時期に、当時のイタリアを代表する思想家であるガエターノ・モスカは、従前からの議会批判を撤回し、むしろ議会主義を擁護するようになった。本研究はこの理由を検討し、その結果は上記した通りである。本研究は、現代においても厳しい批判にさらされる議会の役割と可能性を見出すことに寄与する。
|