研究課題/領域番号 |
20K13413
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐々木 優 金沢大学, 法学系, 講師 (00822264)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国家発展 / 欧州 / 官僚制 / 比較政治 / 政治経済 |
研究実績の概要 |
本研究は、国家における統治力発展(consolidation of state authority)を多角的に検討することを目的とし、欧州の歴史を紐解きながら実証研究を行なっている。中核をなす新規論文の一つとして、統治力の主要因と考えられる黒死病の発生とその影響を仮説とする研究を行うこととしていたが、2020年度は奇しくも新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)のパンデミック発生と重なり、本研究の重要性を裏付ける年度となった。 しかしながら、本来は国内外で10回程度研究報告を行う予定だったが、パンデミックのため研究出張は軒並み中止とせざるを得ず、研究報告や今後の発展を促すネットワーキングの機会が失われたため、進捗の面で大きな遅れが生じた。新規論文である黒死病の発生とその影響に関する研究(論文4)は基礎データの洗い出しと文献調査・精査を中心に進めた。社会科学では2020年度、Covid-19関連論文が多く出版された一方、「黒死病の国家統治力の発展における影響」については研究が少ないことが分かった。特に政治制度については、近年の歴史学における研究では影響は少なかったという説がなされてきており、既存の文献や直感と異なる学説が展開されている。この仮説を検証するため、クオリティの高いデータに基づく実証研究が重要だという知見が得られた。 その他の論文は草稿がすでにあるため、改訂と国際雑誌への投稿を行なった。国家統治における官僚組織に注目した論文“The Royal Consultants: The Intendants of France and the Bureaucratic Transition in Pre-Modern Europe”がJ. of Historical Political Economy誌に採択され、2021年度にオープンアクセスで公刊予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文“The Royal Consultants: The Intendants of France and the Bureaucratic Transition in Pre-Modern Europe”がJournal of Historical Political Economy誌に採択。 論文"Ethnic Autonomy"は国際誌に査読中。 論文「黒死病の国家統治力の発展における影響」については、既存の研究が少ないことが分かった。特に政治制度については、近年の歴史学における研究では影響は少なかったという説がなされてきており、既存の文献や直感と異なる学説が展開されている。この仮説を検証するため、クオリティの高いデータに基づく実証研究が重要だという知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
改訂中の論文については、海外での(現地)学会報告が困難なため、オンラインでの報告を中心に進める。ただし、アメリカ政治学会(APSA)などはすでに2021年度から通常の開催方式(オンラインオプションもあるが小枠だと思われる)に戻すので、円滑に研究を遂行するためには早期のワクチン摂取が肝要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)のパンデミック発生により海外渡航が不可能となったため。渡航制限が緩和され次第、現地での国際学会報告を見据える。
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