研究課題/領域番号 |
20K13414
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
川口 雄一 創価大学, 文学部, 非常勤講師 (10756307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新渡戸稲造・内村鑑三門下の社会派官僚 / 内務省の牧民官 / Bertrand Russell / 労働組合法案 / 教育基本法 / 務台理作 |
研究実績の概要 |
当該年度は、当初、精神形成期を香川県で過ごした南原繁の研究調査をおもな対象とし、当地における一次資料の調査等を計画していた。この計画に対する実績はつぎの通りである。 (1)コロナ禍の制約により当該年度における香川県への出張調査を見送り、翌年度以降の課題とした。なお、同様の理由で、前年度に実施予定だった富山県への出張調査も見送った。この点に関して、富山県への出張調査を優先することとし、現地の関係者と連携をとった。 (2)研究主題としては次年度以降に予定していた内務省警保局(在・東京)時代の南原繁に関する研究調査を前倒しして進めた。具体的な実施内容は後述の通りである。 (3)おもに資料蒐集に集中して研究を進めた。資料蒐集は、古書購入のほか、国会図書館にて調査を実施した。調査・蒐集における主な基準は前年度とほぼ同様、つぎの通りである。(a)第1次世界大戦期を含む近代の富山県ないし射水郡に関する文献。(b)官僚時代の南原と交流をもった人物に関する文献。(c)戦前の労働組合法案、戦後の教育基本法関連の諸資料(前述の(2)の主題に伴う)。 (4)南原繁研究会にて、つぎの2つの研究報告を行った。「第1次世界戦争期におけるB・ラッセルの政治哲学:南原繁の「正義」論の形成に関する予備的考察」(8月28日、オンライン開催)、「近代日本における労働組合法案とその評価:内務官僚・南原繁の思想史的研究のために」(2月21日、オンライン開催)。前者は前年度で得た情報・知識に基づくものである(当該報告は2022年夏に活字化される予定)。後者は前述の(2)の主題に伴うものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、香川県での資料調査を進め、これを実績として研究会等で報告する予定であったが、コロナ禍にともない出張調査を翌年度以降に見送り、そのために調査報告も見送った。また前年度より見送った富山県での資料調査も同様の理由で再度見送った。ただし自宅を拠点とした資料蒐集、国会図書館を中心とする都内の資料調査に集中して、一定の進捗をみることはできた。前年度に得た情報・知識をもとに研究会で報告、活字化の見通しを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 前年度に見送った富山県での資料調査について、現地の関係者と連携を強化し、出張調査の準備を万全のものとする。コロナ禍の情勢に応じて、適宜調査を実施する。 (2)当該年度に見送った香川県での資料調査について、現地の関係者と連携を強化する。コロナ禍の情勢に応じて、適宜調査を実施する。 (3)当該年度に蒐集した資料の解読を更に進めてゆく。これにより研究対象が拡がりをもつ場合は、更に資料蒐集を重ねる。また、当該年度に前倒しした、南原と比較する知識人の調査・研究については、彼らの自伝・回想類に着目し、比較する論点をより明確化する。 (4)研究協力者との連携を強化する。とくに当該年度に把握し得たオンラインのツールをさまざまに組み合わせ、研究に関する情報をこまめに共有するとともに、研究会の実施に向けて見通しを立てる。なお、ひきつづき、上の諸研究の成果にもとづき、南原繁研究会等での研究報告も実施、継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】コロナ禍にともない当初計画していた富山県および香川県での出張調査を見送ったことがおもな理由である。 【使用計画】この制約が漸次緩和し、自由に往来、出張が可能になったことを十分確認できた時点で、当該経費をもって資料調査を実施する。
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