研究課題/領域番号 |
20K13431
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
佐桑 健太郎 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (30802219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国家間紛争 / 領土紛争 / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
当該年度は主に、(1) 国家間の協調・敵対・紛争のネットワークデータの構築および (2)国家間の敵対関係の動態についての分析を行った。それぞれの具体的な内容と意義は以下のとおりである。
(1)国家間の安全保障協力の指標として、冷戦終結後から現在までの主要国(米・露・英・仏・中)が他国に置く海外基地のデータを網羅的に作成した。これは、基地の所在が国家間の対立関係の激化や協調関係の深化にどのように影響するかの実証分析に使用する予定である。また、将来的に作成したデータは公開し、データ供給拠点を運営することも視野に入れている。このデータを部分的に使用した分析の成果をまとめた論文は2021年3月の国際学会 International Studies Association で発表する予定(報告採択済み)であったが、所属大学の海外渡航禁止方針によりキャンセルした。
(2)国家間の敵対関係がどのように激化し沈静化するか、また、領土をめぐる紛争が当事国の周囲の国との関係性によってどのように影響を受けるかをネットワークの視点から分析した。その結果、国家間の領土をめぐる対立関係は、現状変更を求める側(「挑戦者」国)が他の国と抱える領土問題や敵対関係の数が多いほど沈静化する傾向が高いことがわかった。この分析結果は、2国間の対立関係の激しさがその2国だけでなく、周囲の国との関係性のあり方(つまり局所的なネットワーク構造)のような周辺環境からも影響を受けるということの有力な証拠と言える。国家間の関係がどのように周囲の構造に影響されるのかを明らかにするというこの科研費研究の目的の重要な一部分を構成する成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体として研究自体は進展しているが、新型コロナ感染症への対処のためデータ構築を担当するリサーチアシスタントの雇用と研究体制の管理運営が難しくなり、当初の予定を比べるとデータ構築と分析が若干遅れている。また、所属大学の方針のために国際学会への参加が事実上できなくなり、情報収集や意見交換に支障をきたしているほか、国際的な研究会も開催が難しくなり、国際会議論文に成果をまとめながら研究を進めるサイクルがやや遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関で大学授業期間中の海外渡航制限がかけられていることや、研究補助の勤務体制の変更によって若干の遅延を認めてきたため、2022年度8月からの在外研究期間を最大限に利用して資源を集中投入し、研究を進めたい。場合によっては2023年度までの研究期間延長申請も検討しながらではあるが、2022年度中の海外学会での論文発表、海外査読誌への論文投稿を目指して成果を上げていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによる海外渡航の制限により海外の学会参加などのための旅費が使用不可能になったため。次年度には国際会議への参加や研究会などの活動も再開する予定である。
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