研究課題/領域番号 |
20K13436
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
清水 謙 立教大学, 法学部, 特定課題研究員 (60846202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 冷戦史 / スウェーデン政治外交史 / スウェーデンの西側軍事協力 / NATO / 政軍関係 / オーロフ・パルメ |
研究実績の概要 |
本年度はスウェーデンがNATOに加盟申請をしたことで、スウェーデンの政治外交は大きく動いた。それによって、本年度の研究も大きな展開をみた。 書籍、論文としては、「スウェーデン-冷戦期における西側との軍事協力から正式加盟へ-」広瀬佳一編著『NATOを知るための71章』(明石書店、2023年)と「「表の中立と裏の同盟」-冷戦期における西側軍事協力からロシアによるウクライナ侵攻とスウェーデンのNATO加盟申請まで-」『Human Security』(東海大学平和戦略国際研究所、2023年)を公刊した。 そのほか、スウェーデン大使館にてスウェーデン社会研究所、バルト=スカンディナヴィア研究会、大阪朝日カルチャーセンター、新経営研究会/Innovation Forum、東京外国語大学国際関係研究所、日本スウェーデン協会および東京大学中東地域研究センター共催の国際会議、駒場スピーカーシリーズ『ウクライナ戦争の意味』、同志社大学アメリカ研究所第6部門研究公開研究会、世界政治研究会、鹿島平和研究所、東海大学平和戦略国際研究所、日本大学法学部政経研究所などで、本研究課題名を冠する「表の中立、裏の同盟」と題して本課題の研究成果発表を行った。 いずれの研究成果にも、長らく「中立」「軍事的非同盟」を掲げてきたスウェーデンが、ウクライナ侵攻による脅威があったにせよ、なぜ、そしていかにして急展開でNATOに加盟申請に踏み切れる決定ができたのかという問いに対して、スウェーデンが冷戦初期より西側と密接な軍事協力を構築してきたことまず明らかにし、素早いNATO加盟申請というのはこれまで「裏」だった協力関係を、ウクライナ侵攻を受けて「表」に転換していることを析出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はスウェーデンでの史料収集が可能となり、国立公文書館等で本研究に関する外交文書を渉猟し、最新の研究書なども入手した。スウェーデンの国立公文書館が保管しているNATO関連文書をかなりの部分閲覧することができた上、「パルメ文書」も収集することができた。 研究実績の概要に記載した通り、本研究課題名の「表の中立、裏の同盟」に関して、共著1冊、査読論文1本の刊行、12件の研究発表を行ったことから、当初の研究実施計画以上の成果を得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き一次史料と二次文献の収集を行い、スウェーデンと西側との軍事協力関係のメカニズムを精緻化していく。その中でのオーロフ・パルメの果たした役割を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻を受けて、現地での史料調査が不可能であった時期があったため、積み上がった分が次年度に繰り越された。史料収集の規模を拡大して行うことで、その分を調査費用に充てる予定である。
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