研究課題/領域番号 |
20K13440
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
中山 賢司 創価大学, 法学部, 准教授 (10632002)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 東アジア海域 / サブリージョン協力 / 海岸漂着物対策 / 越境地域協力 / 対馬釜山境域 / 日韓海峡広域 / 八重山台湾東部境域 / 沖縄台湾広域 |
研究実績の概要 |
本研究は、東アジア海域環境保全をめぐる下位地域(サブリージョン)協力の実態を解明し、それが東アジア国際秩序の中でいかなる役割を果たすのかを理論と実証の両面から分析・予測することが目的である。 二年度目は当初、東アジア海域環境管理レジーム(PEMSEA:東アジア海域環境管理パートナーシップ)、PEMSEA地方政府ネットワーク(PNLG)の形成・変容プロセスにおける参加国政府の政策変化に焦点を当てた研究を行う予定であった。しかしながら長引く新型コロナウィルス感染症の影響を受け、PEMSEA事務局(マニラ)への訪問、関連する会合・フォーラムへのオブザーバー参加等が不可能であったことから、研究計画の大幅な変更を余儀なくされた。 そこで二年度目も、日本の海域環境保全をめぐるサブリージョン協力に争点を当てた初年度の研究を継続・深化させることとした。具体的には、海岸漂着物問題が日本でとくに深刻な対馬(長崎県)、八重山諸島(沖縄県)をめぐる越境地域協力(CBC)の事例を徹底的に深掘りした。対馬釜山境域、日韓海峡広域、八重山台湾東部境域、沖縄台湾広域という各スケールの漂着物対策CBCを題材に、現地視察、行政(基礎・広域自治体等)や専門民間団体(NPO等)へのヒアリング(対面、オンライン、電話等)、交流事業への参与観察などを行った。研究成果は、北東アジア学会第27回学術研究大会(2021年9月、新潟)で発表し、論文を『北東アジア地域研究』第27巻(2022年5月)に掲載した。 このように東アジア海域環境保全をめぐるサブリージョン協力に関し、日本の国境隣接地域(ミクロリージョン)の海岸漂着物対策協力という視角からアプローチしたことにより、東アジアの重層的な生態系越境ガバナンスという視点とその構築に向けた課題を抽出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長引く新型コロナウィルス感染症の影響を受け、PEMSEA事務局(マニラ)への訪問、関連する会合・フォーラムへのオブザーバー参加等が不可能であったことから、研究計画の大幅な変更を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
本年2月以降フィリピンへの渡航が可能になったものの、PEMSEA事務局(マニラ)への訪問、関連する会合・フォーラムへのオブザーバー参加等、現地調査が可能かどうかは不透明である。しかしながら、既に構築したPEMSEA研究のための基盤(人的ネットワーク、一次資料・データ、二次資料等)を活用し、東アジア海域環境管理複合レジームの形成・変容プロセスにおける参加国政府の政策変化に焦点を当てた研究(資料解析、文献調査、オンラインヒアリング等)を進めたい。現地調査が可能になった段階でフォローアップを図るとともに、英文での成果発表につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
長引く新型コロナウィルス感染症の影響を受け、PEMSEA事務局(マニラ)への訪問、関連する会合・フォーラムへのオブザーバー参加等が不可能であったことから、研究計画の大幅な変更を余儀なくされたため。 今後は、資料解析、文献調査、オンラインヒアリング等を行うとともに、現地調査が可能になった段階で、PEMSEA事務局(マニラ)への訪問、関連する会合・フォーラムへのオブザーバー参加を行う。加えて、都市間ネットワーク研究を世界的に牽引する豪州メルボルン大学の研究グループとの研究交流を図る。
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