研究課題/領域番号 |
20K13446
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
崔 正勲 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 助教 (70822716)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 北朝鮮 / 韓国 / 核兵器 / 米朝関係 / 南北関係 / 同盟 / 核抑止論 / 米韓関係 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、北朝鮮の核兵器高度化に伴う米朝間の抑止関係の変化及びその北東アジアの安全保障への影響について核抑止論に依拠し検証することで、①核抑止論を刷新し②かつ新たな安保環境における日本と韓国の戦略と選択肢を明らかにする事にある。 2021年度の研究では、核抑止論の観点から、北朝鮮の核軍拡に伴う米朝間の通常抑止関係および核抑止関係の現状を検証することで、北朝鮮における核兵器高度化に対する米国の対北朝鮮脅威認識と行動の変化が顕れ、米朝間の抑止関係が長期的に見てより安定的になることを明らかにしながら、北朝鮮の核兵器高度化による韓国への影響について考察した。 具体的には、核抑止論の観点からこれまで東アジア核抑止体制の中心をなしてきた米国の対韓拡大抑止への影響について検証し、核兵器高度化以後における米国の韓国に対する拡大抑止の信頼性が低下している点を明らかにした。 上記研究成果は、①論文執筆、②研究報告、③研究集会開催によって、発信された。とりわけ、2021年度に掲載された論文では、北朝鮮の核兵器高度化に伴い、新しい安全保障環境が現出した中、米国の対韓拡大抑止の信頼性について、核抑止論の観点から考察した。第一に、拡大抑止に関する先行研究について整理し、第二に、戦後韓国に提供されてきた米国の拡大抑止の歴史を検討した後、北朝鮮における核兵器高度化について評価した。最後に、核抑止論の観点から、北朝鮮の核兵器高度化が持つ、現行の米国の対韓拡大抑止への影響について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に引き続き、2021年度も新型コロナ・ウィルス感染症拡大による影響で、当初の研究計画に遅れが生じている。とりわけ、当初計画していた国外での研究活動が全く実施できない状況にあり、いわゆる「ニューノーマル」に手探りながら漸次適応している段階にある。しかしながら、zoomなどのオンラインツールを使用し、国内外の研究者らとの連携を図っている。そうして、①核抑止論の観点から、北朝鮮の核軍拡に伴う米朝間の通常抑止関係および核抑止関係の現状を検証することで、北朝鮮における核兵器高度化に対する米国の対北朝鮮脅威認識と行動の変化が顕れた点、②北朝鮮の核兵器高度化による、米国の対韓拡大抑止への影響、について検証した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、ウクライナ戦争が勃発した点も踏まえながら、核抑止論と密接な関係性を持つ地政学理論の観点からこれまで東アジア核抑止体制の中心をなしてきた米国の拡大抑止への影響について検証する。 この検証のための方法としては、第1に地政学理論における先行研究をサーベイした後、それに依拠し理論的にアプローチする。第2に米国・日本・韓国の意思決定層のメディア上の発言についての言説分析を行う。また、日米韓の有識者(意思決定者や政策立案者も含む)へのインタビュー・フィールドワーク・シンポジウム・ワークショップを実施し、政策立案に係りうる有識者層の認識の変化を捉える。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、海外および国内の移動に制限があることが次年度使用額が生じた主な原因であると考える。しかしその額は13681円であり、次年度の研究活動過程で十分に次年度経費と合わせ使用可能である。
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