本研究は、本地域で採取された造礁サンゴ骨格を代替指標とし、中東地域での乾燥度や砂嵐を伴う地域風(シャ マール)の変遷を復元することを目指した。 気候要素を高精度に復元するために、塩分指標の算出法や河川流量の指標の分析方法を新たに確立した。さらに、人為的要因による現在の温暖気候と自然要因による過去の温暖気候を比較することで、現在の中東地域の環境が特異であるかどうかを検証した。オマー ン国北東部にて採取された造礁サンゴ骨格を用いて、現在と同程度に温暖であった12万年前の気候要素を復元した。その結果、当時は現在の記録で確認されるよりも冬季モンスーンが強く、地域風も強かった可能性が示唆された。
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