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2020 年度 実施状況報告書

企業の現金保有行動を考慮した金融政策の経済成長効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K13449
研究機関千葉大学

研究代表者

鈴木 慶春  千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (30748520)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード研究開発投資 / 特許保護 / 特許ライセンス
研究実績の概要

2020年度は研究計画に従い、手元資金を研究開発投資に投入する企業行動を標準的な成長理論理論のモデルに導入した。既存理論では企業の利潤のキャッシュフローは全て株主への配当に回ることが想定されているが、そうした内部資金のうちどれだけを配当に回し、どれだけを研究開発投資に回すのか、更に外部資金を株式発行によりどの程度調達するのかを意思決定する企業行動を分析した。研究開発投資を行う主体がリーダー企業の財を模倣するフォロワー企業である場合、研究開発投資を活発にするためにはそうしたフォロワー企業の手元資金、すなわち利潤を増やす政策が有効であることを明らかにした。この結果は、既存特許の保護を強化する政策はフォロワー企業の利潤を減らすために研究開発投資を抑制してしまう効果があることを示唆する。一方で、特許保護の強化はフォロワー企業が研究開発投資に成功した場合の利潤を増やすため、素朴なシュンペーター効果により研究開発投資への意欲が高まるという正の効果も存在する。その結果、前者の負の効果と後者の正の効果どちらが支配的かによってトータルの効果が決定されることを明らかにした。
またこのフレームワークを用いて、企業間交渉によって決定される特許ライセンス料が経済成長にどのような影響を与えるかを分析した。企業が内部資金を研究開発投資に使用しない場合は、暴利な特許ライセンス料が経済成長率を最大にする一方で、企業が内部資金を研究開発投資に使用し、かつ外部資金の調達が困難なケースにおいては中程度の特許ライセンス料が成長にとって望ましいことを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究のベースラインとなる理論が順調に構築され、またそれを用いた政策効果の理論的分析が進展しているため。

今後の研究の推進方策

2021年度は前年度に進展した研究をディスカッション・ペーパーとして公開し、学術雑誌への投稿を行うことを計画している。またモデルに金融政策を導入することで、インフレ率と経済成長率の関係などを分析する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] PATENT PROTECTION, OPTIMAL LICENSING, AND INNOVATION WITH ENDOGENOUS ENTRY2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Keishun
    • 雑誌名

      Macroeconomic Dynamics

      巻: 24 ページ: 2033~2059

    • DOI

      10.1017/S1365100519000099

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Competition, patent protection, and innovation with heterogeneous firms in an endogenous market structure2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Keishun
    • 雑誌名

      Journal of Public Economic Theory

      巻: 22 ページ: 729~750

    • DOI

      10.1111/jpet.12415

    • 査読あり
  • [学会発表] Corporate Tax Cuts and Economic Growth2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木慶春
    • 学会等名
      日本経済学会

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公開日: 2021-12-27  

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