研究課題/領域番号 |
20K13450
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
舛田 武仁 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (80725060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リスク態度 / 曖昧さ態度 / 経済実験 / 自己予防問題 / 誘因整合性 / マッチング確率 |
研究実績の概要 |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が普及したことで、従来方式の対面実験を実施できる機運が高まった。そこで、オンラインと対面の両実施方式で経済実験ができるよう備える必要があった。そこで、インターネットブラウザ上で参加でき、かつ自由度が高いアンケートツールであるクアルトリクスを導入し、そのプログラミングと参加者インターフェイスの改善、動作検証に数か月を要した。 2021年度は年末と春休みの2度に集中して実験データを収集した。損失確率が努力だけでは決まらない「曖昧さ」がある自己予防問題での努力水準は、曖昧さ態度とどう関係するか、バイロンの先行研究で予測されている。これを受け、被験者にa) Baillon et al. (2018, Experimental Economics)が導入した高次「曖昧さ」態度抽出課題と、b)自己予防問題をさせ、理論との整合性を検証した。より具体的には、舛田=リー論文(Masuda and Lee (2019, Experimental Economics))のうち、損失発生タイミングが遠い条件下で実験した。標準的な経済実験手順に従い、各被験者に十分な報酬を支払った。オンラインと対面両方の実施方式を試した。 研究課題と関連する論文1本はExperimental Economicsに公刊が決まった。また、それとは別に行っている共同研究では、大学生参加者と一般参加者との間で不確実性に対する態度等を包括的に比較し、経済実験の外部妥当性を検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に整備したオンライン経済実験環境を活かし、オンラインで参加者が自宅等にいても参加可能な実施方式で得たデータと、従来どおり参加者が一同に会する対面での実施方式で得たデータとの間に同様の傾向が得られるか検証することに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
一般に、オンライン実験では、実験者がそばにいないことで参加者の課題への注意が削がれがちとなることが懸念されるが、インターフェイスをより改善していくことで、対面とそん色のないクオリティを保つようにする。また、できる限り、海外の研究協力者を招へいすることで集中的に議論する機会を持つように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画期間中に実験のオンライン化が進み、参加者は自宅等から参加できるようになったことで、実験用スペースにパソコンおよび周辺機器を購入・設置することを延期したため。また、学会・セミナー発表を予定していたが、それらに伴う出張費がオンライン化のためにかからなくなったため。
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