研究課題/領域番号 |
20K13450
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
舛田 武仁 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (80725060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リスク態度 / 高次リスク態度 / 曖昧さ態度 / 経済実験 / 自己予防問題 / 誘因整合性 / マッチング確率 |
研究実績の概要 |
申請者自身が公刊済の論文(Masuda and Lee, 2019)で用いた高次リスク態度抽出課題を含むさまざまな個人属性をオンラインで測定した結果をまとめた論文Hanaki, Inukai, Masuda and Shimodaira (2022)がJapanese Economic Reviewに採択、ウェブ上で公開された。同論文では、よく大学生を対象に実施される経済実験結果がどれだけ普遍的なものか、いわゆる外部妥当性の懸念を扱っている。学生参加者と調査会社に登録している一般参加者の両方を対象に、不確実性に対する態度や後ろ向き推論度、認知能力等の個人属性を測定した。高次リスク態度の一つであり予防努力水準を決める慎重さ(Prudence)で比較すると、学生参加者のほうが一般参加者よりも明確に高いという結果を得た。このように、一つ一つの個人特性を見れば群間で差があるが、指標の相関構造は2つの群で似ているという結果を得た。この結果は、経済実験の外部妥当性をある程度支持するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で記した通り、高次リスク態度を含む個人属性測定実験の外部妥当性を支持する結果をまとめた論文を公刊できた。しかしながら、2021年度に実施した実験の結果がどのような不確実性下の意思決定モデルでうまく説明できるのかを精緻に分析するために時間を要している。以上のことから、本研究課題の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
実施済実験データの分析を進め必要に応じて追加実験を実施する。得られた研究成果を投稿可能な論文とすることを当面の目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験データ分析を引き続き行うには統計解析ソフトウェアのライセンス更新費用が必要である。また、追加実験のための参加者謝金として、経済実験の特徴であるパフォーマンス支払いに対応すべく変動を見越して十分確保しておく必要がある。そして、研究が進展し報告できる水準に達した場合には研究報告のための旅費等に充てる予定である。
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