研究課題
若手研究
いじめに取り組む学校選択制に関する研究を進め、6本の論文をまとめ上げ、うち4本を査読付き国際ジャーナルに掲載した。掲載済みの4本はいずれもいじめに取り組む学校選択制の姿形を見極める為の基礎理論的成果に関わる物である。またより踏み込んだ議論をした2本の未公刊論文では、いじめ問題の有無に関わらず学校選択制が満たすべき基礎的性質を規範的に再評価した上で、それらの性質を満たすいじめに取り組む学校選択制の具体的な候補を絞って提示した。
マーケットデザイン
従来は心理学・社会学等の範疇で議論されてきた教育現場におけるいじめの問題に、経済理論的に取り組む道筋を示したことが最大の意義である。学校選択制や教員評価制のみならず、今後様々な制度の設計を通して、経済学的にいじめの問題に対処することが期待される。また、従来は「一緒に入学する同級生の顔ぶれを気にしない」という仮定の下に議論されていた学校選択制に関して、「いじめっ子といじめられっ子を別々の学校に入学させる」という制約を通して、より望ましい制度を設計する道筋を示したことも本研究の意義である。