研究課題
2年目の前半は、労働マッチング市場の均衡分析に関する論文の改定作業に注力した。投稿先のJournal of Economic Theory誌から二度目のreviseの指示を受け、修正した版を7月に再投稿した。その結果、8月に論文が受理された。本論文の貢献として、労働市場に新たな労働者が参入した際、均衡価格がどのように変化するのかを幾何学的に明らかにしたことが挙げられる。また、オークションの理論研究も行った。Ausubel (2006, AER)が提示したオークションには誤りがあることを反例を用いて示し、どのように改善すれば良いのかを明らかにした。成果をNoteにまとめ、2022年1月に学術雑誌に投稿した。さらに、これまでの研究で取り組んできた「制約条件がある労働マッチング市場」の研究を拡張した。2021年度までの分析では、労働者の効用関数が「準線形性」と呼ばれる性質を満たすことを仮定していた。この性質は、労働者にとっての賃金が所得の大部分を占める労働市場の分析には適切ではないことが知られている。そこで、この仮定を落とし、これまで得られていた均衡発見のアルゴリズムを一般化する研究を進めた。特に、超過需要・供給を調整する手続きが停止した際、労働者と企業との間でうまくマッチングが組めるための条件を、離散数学の手法を用いて分析した。得られた成果を2021年6月に国際学会(2021 SAET conference)で報告した。報告後に受け取ったフィードバックを基に、論文の改訂作業を進めた。本研究の貢献として、マッチングアルゴリズムとオークションアルゴリズムの類似性を価格調整という視点から明らかにしたことが挙げられる。
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Journal of Economic Theory
巻: 197 ページ: 105346~105346
10.1016/j.jet.2021.105346
https://sites.google.com/site/kojiyokote/