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2022 年度 実施状況報告書

貨幣と公共財の一般均衡理論研究:協力ゲーム的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 20K13461
研究機関追手門学院大学

研究代表者

村上 裕美  追手門学院大学, 経済学部, 講師 (80803072)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード協力ゲーム / コア / 公共財
研究実績の概要

本研究は、コア理論に基づく分析を中心に、公共財生産と貨幣供給の下での均衡資源配分と、それを実現する市場メカニズムの最適性や安定性について考察を行うものである。2022年度は、公共財生産と政府の財政収支を同時に考察するモデルの定式化とその検討を行った。概要は次の通りである。(1)国家=政府が、公共財供給の主体=公企業であると同時に、貨幣の発行の主体とする。公企業の収支を見ることで、国家財政の問題を取り扱うことができる。(2)公共財の生産・供給を、公企業と私企業に分類し、私企業にも公共財の個人別価格を割り当てる。すなわち私企業もリンダール税を負担する。(3)私企業は公共財にかかる税制の下で利潤最大化を行い、利潤が存在する場合(公企業については負の利潤もあり得る)を含んでいる。(4)公企業の行動規準は、私企業のように無条件に利潤最大化行動を取るという形ではなく、「パレート効率性を現状以上に高めるという前提の下での利潤最大化を行う」すなわち、現状および現状よりもパレート改善的な資源配分と結びつく可能性のある全ての行動の中で、現状の行動が利潤最大化になっている、という形で整理される。この経済モデルを手掛かりに、具体的に医療・公衆衛生分野の問題について、具体的な事例を含めて検討を行い、所属学会のシンポジウムで発表を行った。
また、こうした公企業の生産を含む一般均衡モデルの動学的展開に向けて、social coalitional equilibriumの分析枠組みを用い、企業の生成問題、すなわち産業構造の決定問題を複層コアの概念を手掛かりに検討し、専門誌においてその成果を公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

公共財生産を含む経済のコア収束定理やその均衡の特徴づけについて、当初の想定以上に詳細な検討が必要であることが明らかとなったため。

今後の研究の推進方策

まずはこれまでの研究成果、とくに公共財生産と財政収支を同時に分析する経済モデルを用いて、そのような経済における均衡の最適性の確認や、コア収束定理の整理を行う。さらにこのモデルに世代重複構造などを導入し、動学的展開を検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症流行のため、多くの学会がオンライン開催となり、旅費の使用計画に変更が生じたこと、また、研究成果は2023年度に英文専門誌に投稿することとしたため、その際に必要な英文校正費用を利用しなかったことが、主たる理由である。
これらの差額は2023年度の研究成果報告のための旅費や、英文校正費用として利用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Generalization of the social coalitional equilibrium structure2023

    • 著者名/発表者名
      Urai Ken、Murakami Hiromi、Chen Weiye
    • 雑誌名

      Economic Theory Bulletin

      巻: 11 ページ: 1~25

    • DOI

      10.1007/s40505-023-00242-w

    • 査読あり
  • [学会発表] 経済のリアリティと医療: 近年のパンデミックと死と生にまつわる「具体性の置き違え」問題を巡って2022

    • 著者名/発表者名
      村上裕美
    • 学会等名
      日本ホワイトヘッド・プロセス学会第44回大会

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公開日: 2023-12-25  

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