研究課題/領域番号 |
20K13462
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田村 翔平 関西学院大学, 経済学部, 講師 (10802035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メカニズムデザイン / 公共財 |
研究実績の概要 |
複数の集団から構成される社会において公共財をどの集団に割り当てるかを決定する制度について、その設計可能性に関する分析をメカニズムデザイン理論の分析手法である公理的特徴付けを用いて行った。具体的には、制度が満たすべき望ましい性質として3つの性質を定式化したうえで、それらの性質を全て満たす制度の集合を演繹的に導出した。その結果、導出された制度は従来メカニズムデザイン理論において中心的に分析が行われてきたGroves mechanismsとは異なるものであること、およびGroves mechanismsと比較してより単純な計算構造を持つものであることが分かった。本結果により、公理的特徴付けに用いた3つの性質のどれも欠かせない性質であると考えられる場合は、導出された制度を唯一の選択肢として提案することが可能となる。本成果は同理論における非Groves mechanismsの文献に新たな知見を加える成果であると評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り、公理的特徴付けを用いて具体的な制度を演繹的に導出するに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の分析で導出した制度とGroves mechanismsの比較を行い、どのような観点で一方の制度がもう一方の制度に対して優位性を持ち得るかを検証する。加えて、2020年度の分析で用いた3つの性質とは異なる性質の組み合わせを用いて公理的特徴付けを行った場合にどのような制度の集合が導出されるかを分析し、もし既に導出している制度と異なる制度が導出された場合は両者の比較を行い優位性の有無を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては新型コロナウィルスの感染拡大に伴い当初の計画の旅費の支出に至らなかったため次年度使用額が生じている。次年度使用額については2021年度における旅費の支出に充足する。
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