本研究は複数の集団からなる社会において公共財をどの集団に割り当てるかを決定するための制度の設計可能性をメカニズムデザインの枠組みを用いて分析を行うものである。本年度の分析では、前年度までの分析で得られている制度の導出結果に関して、各個人が公共財に対して持ち得る評価値の集合についてより大きな集合を想定する場合は、導出において用いた3つの公理のうちの1つの公理を用いずとも同じ制度が導出される、すなわち制度の必然性が高まることを明らかにした。また、前年度までに得られている結果についても、数学的証明をより簡潔なものに置き換えることができた。本年度までの分析を通じて、現実の社会を想定した具体的な環境のもとで、どのような制度を用いて公共財を割り当てることが望ましいかを明らかにすることができた。
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