研究課題
若手研究
本研究は、グローバルな市民の役割を論じたカール・ポランニーの社会経済思想の源流を、イギリス時代に執筆された新資料を用いることで明らかにすることを目的とした。これは、これまで看過されていた『大転換』を執筆する以前のイギリス時代の労働者教育協会(WEA)での活躍に着目し、ポランニーの思想がどのような人的・歴史的要因によって変化・発展したのかを探求することで明らかにできる。さらに、そこからグローバルな市民が中心的役割を担うことで人間の生存が充足されるという福祉思想を探った。
経済学史
ポランニーのこれまで明らかにされてこなかった思想の一端を探究した。とりわけ、イギリス時代およびオーストリア時代は彼の思想の基礎を形作ったため、それを明らかにすることで、『大転換』などの著作では不明瞭であった彼の社会主義像をより鮮明化できる。今日、資本主義システムの発展とともに、それにうまく取り付けない人びとや社会が取りざたされる中で、ポランニーの思想は新たなオルタナティブを提示しうる。