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2023 年度 実施状況報告書

寡占市場での動学的競争の理論分析とその競争政策への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K13492
研究機関獨協大学

研究代表者

吉田 翔平  獨協大学, 経済学部, 専任講師 (50838290)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードスイッチングコスト / 動学的競争 / 垂直的取引 / 垂直的製品差別化 / 複数財販売企業
研究実績の概要

本年度は、1. 寡占市場におけるスイッチングコストを伴う動学的寡占競争、2.垂直的取引関係下における垂直差別化企業間の競争についての比較静学分析、さらに、3. 垂直的取引関係下における複数財企業の行動に関する研究を行なった。
1.に関してはスイッチングコストの発生する市場環境で同質的な消費者を奪い合う無限期間の競争を分析している。先行研究とは異なり企業数を2企業以上に拡張して分析を行なっている。これによりスイッチングコストの価格へ効果について、市場の競争状態がどのように影響を与えるかという新たな観点の分析をすることが可能になった。現在、これらの結果を論文として取りまとめているところである。
2.に関しては、垂直的取引関係のもとで、企業と消費者双方に異質性のある環境での企業競争を分析した。川下市場に異なる技術を持つ企業が3社存在し、各財は品質の点で差別化されている。各川下企業は、中間財を独占川上企業から購入するが、必要とされる中間財の単位数が各々で異なるとする。その設定のもとで、高品質企業の中間財必要単位数が少ないとき、低品質企業に財の質が向上するとその企業のみならず、競合企業である高品質企業の生産量や利潤が増加するという結果が得られた。本論文については学術雑誌に掲載されている。
3.に関しては、垂直的取引関係のもとで、複数の垂直的差別化財を販売している企業の行動を分析する。企業の販売している財の品質や生産費用の比較静学と行い、通常の比較静学の結果がどの程度まで一般化できるかなどについて計算をし、分析を行った。通常の直感とは異なり、低品質の財の費用が減少すると、消費者余剰や企業の利潤を減少させるという結果が得られている。
その他、消費者の買い溜め、買い占め行動の理論的、実験的分析を行なった、「買い溜め行動の実験的解明」が学術雑誌に掲載されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スイッチングコストが発生する動学的寡占市場の競争の分析について、分析可能な枠組みが見つかり、企業数を拡張する形での分析ができたという意味で一定の進捗があったと言える。またその他の研究についても2本の論文が公刊できたという進捗があった。

今後の研究の推進方策

スイッチングコストが発生する動学的寡占市場の競争の分析について、現在の分析モデルを用いて、さまざまな観点から分析を行い、既存の研究で得られていなかった結果を中心にまとめ、論文として国際査読誌に投稿する。すでに一定の結果が得られている研究については先行研究との関連を精査した上で論文にまとめ、国際査読誌への投稿を行う。

次年度使用額が生じた理由

研究期間開始当初、先行研究で参考にするはずであった分析枠組みに問題が見つかった関係で研究課題の進捗がやや遅れている。現時点での研究課題の進捗で必要 になるものがなかったことが次年度使用額が生じた原因の一つである。 また、研究会や学会のオンライン化によって、研究費の使用目的の大部分を占めていた 旅費についても使用する機会がなくなったことも次年度使用額が生じた理由である。 今年度の使用計画については、研究の進行によって、実際に当初計画していた研究費の使用が見込まれる。よって繰り越していた研究費について計画通り使用していく予定である。 研究の進捗が予定通り進めば、研究報告を行うがその際の旅費として研究費を使用していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 買い溜め行動の実験的解明2024

    • 著者名/発表者名
      山森 哲雄, 吉田 翔平
    • 雑誌名

      情報学研究

      巻: 13 ページ: 5-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 垂直的取引関係下における垂直差別化企業間の競争についての比較静学分析2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 翔平
    • 雑誌名

      獨協経済

      巻: 116 ページ: 37-48

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公開日: 2024-12-25  

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