本プロジェクトは、日本における格差について、構造推定の手法を用いて分析することを目指すものである。そのために、まず総務省『全国消費実態調査』と厚生労働省『国民生活基礎調査』のデータを用いて、1990~2010年の20年間における所得格差の推移を明らかにする作業を行った。その結果、国勢調査データを使って標本分布の偏りを補正しても、二つのデータの間で結果に齟齬があり、構造推定を行うための前提となる、頑健な推定結果は得られなかった。これらの分析結果は、内閣府経済社会総合研究所が発行するディスカッションペーパーとして公表しており、内容をまとめたものを一つの論文にして査読付き国際学術誌に投稿予定である。
|