研究課題/領域番号 |
20K13514
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
牛 冰 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (90756363)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 要介護者の満足度 / 介護ニーズ / 介護リテラシー / ヤングケアラー / 外部支援 / 家族のケア役割が及ぼす影響 |
研究実績の概要 |
本年度では、ます、【研究テーマ1:家族介護者のメンタルヘルスとストレス・マネジメントのあり方が要介護者の生活の質・満足度に与える影響】において、情報公開申請を経て入手した「堺市高齢者等実態調査」の個票データを用いて、要介護者の満足度や介護ニーズなどに影響を及ぼす要因について実証分析を行い、要介護者の満足度と介護ニーズのそれぞれについて、研究論文を執筆した。前者の研究に関して、国際学術雑誌に投稿し採択され、オープンアクセスにて掲載されている。一方、後者の研究も論文執筆が終わり、最終年度に向けて論文投稿を進めている状況である。
次に、【研究テーマ2:家族介護者のメンタルヘルスとストレス・マネジメントのあり方に影響する社会的要因】に関して、研究対象の一つとして、家族介護を行っているヤングケアラー(15歳~25歳の子ども及び若者)に着目した。ヤングケアラーに関する社会調査を独自に設計・実施し、調査会社(外部委託先:株式会社日本能率協会総合研究所)の協力を得て全国のヤングケアラーに関する個票データを入手した。当該データを用いて、ヤングケアラーの負担の実態及び外部支援の影響について、実証分析を行った。本研究成果は学術論文として国際学術雑誌に掲載されている。
最後に、【研究テーマ3:家族介護者のメンタルヘルスを促進する支援プログラムの経済評価】に関して、まず、日本のヤングケアラーに着目し、家族のケアの役割が彼らの認知面や感情面に及ぼす影響(PANOC-YC20)について実証分析を行った。また、日本のヤングケアラーの現状について海外の研究とも比較しながら分析を進めた。本研究は現在論文投稿中で、査読を受けている状況である。今後の予定として、彼らが求めているニーズをさらに明らかにし、有効な支援プログラムの考案・開発の参考となるように基礎資料作りを行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の具体的な進捗状況については、以下の通りである。 【研究テーマ1】について、2つの研究課題について実証分析を行い、論文執筆を行った。そのうち1つの研究論文が国際学術雑誌に採択され、オープンアクセスにて掲載されている。他方の研究論文は最終年度にかけて、現在論文投稿を進めている。
【研究テーマ2】について、実証分析から得られた研究結果について論文執筆し、学術論文として国際学術雑誌に掲載されている。
【研究テーマ3】について、本年度に実施した研究内容において得られた研究結果を論文執筆し、現在学術雑誌に投稿中である。また、最終年度に実施する予定の研究課題に向け、その基礎資料作りを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の最終年度では、以下の計画でそれぞれの研究テーマに取り組む予定である。
【研究テーマ1】について、2つの研究論文のうち1つの論文は既に掲載されているので、もう1つの論文投稿を継続し、国際学術雑誌への論文採択を目指す。
【研究テーマ3】について、さらに研究内容を深め、論文の執筆と投稿を継続し、学術雑誌への論文採択を目指す。本研究プロジェクトは、アメリカの公衆衛生学分野の研究協力者の協力を得て進めており、共同研究者とともに具体的な分析内容を検討し、調査や分析を進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度では、研究テーマを遂行するために、共同研究者が在籍しているアメリカの研究機関に学術訪問を行う予定であったが、コロナ禍の影響により、訪問を断念せざるを得なかった。したがって、最終年度にアメリカへの学術訪問を実施することとし、渡航予定である。
次年度使用額分は、海外への学術訪問や調査などを行うための費用に充てる予定である。
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