本年度では、【研究テーマ3:家族介護者のメンタルヘルスを促進する支援プログラムの経済評価】に関して、日本のヤングケアラーに着目し、家族のケアの役割が彼らの認知面や感情面に及ぼす影響(PANOC-YC20)について前年度に引き続き実証分析を行った。前年度に投稿した論文は査読を経て、医療経済学分野の学術雑誌に掲載されている。また、ヤングケアラーが求めているニーズをさらに明らかにし、有効な支援プログラムの考案・開発の参考となるような実証的エビデンスを得る為の研究を進めている。関連研究の概要が、2024年7月に開催された国際学会(EUHEA)の口頭発表に採択されている。
研究期間全体を通して、本研究は家計に着目して、家族介護者のメンタルヘルスが要介護者(高齢者)の生活に及ぼす影響力を応用計量経済学的手法で定量化するとともに、家族介護者のメンタルヘルスを促進する支援プログラムの考案・開発を試みた。日本の様々な個票データを用いて実証研究を行い、要介護者の満足度や介護ニーズに影響を及ぼす要因や、社会的関心が高いヤングケアラーの問題に対し、彼らの負担の実態や外部支援の影響、求められているニーズなどを明らかにした。このような本研究結果を活かし、堺市子ども家庭課の委託研究や政策立案にも貢献している。
さらに、最終年度には共同研究者(Lingling Zhang)が所属しているマサチューセッツ州立大学(UMASS)に学術訪問し、国際研究プロジェクトの今後の展開について意見交換した。家族介護者に関する国際共同の研究調査を行っていく段階にある。
|