研究課題/領域番号 |
20K13518
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
姜 哲敏 東京経済大学, 経済学部, 講師 (40818944)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大気環境 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、環境問題や環境政策が人的資本の蓄積に与える影響を明らかにすることである。特に越境大気汚染の黄砂に注目し、日本や韓国における黄砂の飛来が子どもの健康や学力に与える影響を推定する。 本研究課題の4年目である2023年度は、黄砂の飛来が日本の子どもの健康や学力に与える影響を調べるために、厚生労働省および文部科学省に「21世紀出生児縦断調査(平成13年・平成22年出生児)」の二次利用申請を行い、データ利用の内諾を得た。これらのデータと昨年度に整備した大気汚染データベースとをリンケージするためのプログラムコードを作成し、データを分析に利用可能な状態に加工した。 次いで、昨年度行ったディーゼル車規制の評価に関する研究を英文査読付きジャーナルJournal of Environmental Economics and Managementに投稿し、数回の修正後、査読を通った。この研究では、2002年の自動車NOX・PM法の導入によって首都圏の大気環境がどれくらい改善されたのか推定した。また、ヘドニックア・プローチに基づき、大気環境の改善が地価の上昇に与える影響を推定し、大気環境の改善による利益は規制の導入にかかった費用の約14倍であることが分かった。さらに、子どもの健康に対する効果を推定し、自動車NOX・PM法の導入により、低出生体重児や早産が有意に減少したことを確認できた。 最後に、上記と並行し、今年度も関連研究の調査および近年の研究動向の把握のために海外学会等に参加し、本研究課題の貢献や位置づけ等について整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に研究が進んでいる。また、本来の研究テーマが複数の研究に広がり、新しい研究に着手することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2024年度)は本研究課題の最終年度である。今後はこれまで得られた分析結果をまとめ、working paperとして発表する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行のため、旅費を伴う出張が実施できなかった。現在、流行が収まりつつあると見られるため、次年度は旅費として使用する。
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