• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

労働者の非正規化と失業率低下の同時発生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K13519
研究機関関西大学

研究代表者

溝端 泰和  関西大学, 経済学部, 准教授 (60727121)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード二重労働市場 / 標準雇用 / 非標準雇用 / 景気循環 / 雇用調整
研究実績の概要

本年度は、これまでの研究結果を論文にまとめ報告した。研究発表や英文校正を通じ、以下の2点で論文の書き方を工夫した。1点目は、これまで「非正規雇用」という言葉をややあいまいに使用してきたが、「非正規雇用」の定義は国や統計により異なることから、その定義を明確にし言葉の使い方を厳密にした。具体的には、賃金支払・人的資本の蓄積・解雇規制が通常の雇用とは異なる形で運用されている雇用という意味で「非標準雇用」という言葉を、そしてその具体例として「非正規雇用」、「パートタイム雇用」などの言葉を使用することとした。またこれらの具体例も、統計によって職場の呼称により定義されているものもあれば、労働時間により定義されているものもあるため、誤解が生じない形でその都度定義に触れるようにしている。
続いて2点目として、これまではストック変数からみた非標準雇用の特徴とフロー変数からみた特徴をそれぞれ羅列する形で取りまとめていたが、この書き方では著者が最終的にどのようなことを言いたいかが読者にストレートに伝わりにくいという意見を受け、ストックとフローの両分析から示唆される、日本の非標準雇用の実態という観点で全体をまとめることとした。特にストック・フローいずれの分析からも、日本における標準雇用と非標準雇用からなる二重労働市場の深刻さと、不況期に非標準雇用が雇用の調整弁になりやすいという問題が示唆され、このような観点で論文をまとめることとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた論文執筆と研究会での報告というステップにある程度進めていることから上記区分での評価としている。

今後の研究の推進方策

本研究のこれまでの結果から、正規雇用に代表される標準雇用と、非正規雇用に代表される非標準雇用とでは、とりわけ不況期において異なる雇用調整が生じることが示唆されている。本研究課題の研究計画の最後になるが、上記の非対称な雇用調整についてより深く理解するため、異質な労働者のジョブサーチモデルを考え、標準雇用・非標準雇用のそれぞれのマッチング関数の推定を通して不況期のマッチングの効率性、新規求人の新規就職者に対する弾力性の両雇用形態間の違いを明らかにしたい。分析には、一般職業紹介状況(厚生労働省)の2004年11月以降のマクロデータを使用する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究計画の遅れから使用計画もずれ込んでいることと、コロナ禍で関連する学会・研究会がオンライン開催になり渡航費を中心に旅費が必要なくなったことが主な要因である。次年度は研究論文の英文校正、学会への旅費などを中心に支出予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Japan's Dual Labor Market and its Macroeconomic Characteristics2023

    • 著者名/発表者名
      Hirokazu Mizobata
    • 雑誌名

      SSRN Electronic Journal

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.2139/ssrn.4392963

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Japan's Dual Labor Market and its Macroeconomic Characteristics2023

    • 著者名/発表者名
      溝端 泰和
    • 学会等名
      同志社大学経済学会研究会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi