研究課題/領域番号 |
20K13539
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 篤史 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (40750435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アジア銀流通 / 国際通貨システム |
研究実績の概要 |
本研究は19世紀中葉のアジアへの銀流入の規模、構造、メカニズム、担い手を実証的に解明することを目的とする。本年度は申請時に予定していた通り、収集済みのインド貿易統計のデータセット、アジア各地の為替市場の金融統計のデータセットの整理を進めた。一方で、申請時に予定していた海外資料調査を実施することができなかったため、新たな資料を収集することはできなかった。そのため、収集済み資料を用いた分析を進め、整理した各種データセットを用いて、現状で分析可能な時代範囲の1846年~1870年のアジアの銀吸収の規模、構造、メカニズムを検証した。その結果、1840年代末から1860年代末にかけて、西欧から中国とインドへの大量の銀の輸入が起こり、その一部はアジア域内でさらに流通したこと、その背景にはイギリスも含めた多角的決済メカニズムが働いていたことを、数量的に実証することができた。その成果を研究論文にまとめ、海外学術誌に投稿し、現在、査読審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に予定していた手元にある資料のデータセット化は十分に進めることができた。しかしながら、申請時に計画していた海外資料調査を実施することができなかった。その一方で整理が完了したデータセットを用いた実証分析を実施することができた。また、その成果を海外学術誌に投稿する段階まで進んだ。想定外の状況に柔軟に対応した結果、現状で最善の研究進展を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は必要不可欠な海外資料調査が実施不可能であったため、可能な限り早期に資料調査を実施する予定である。その資料調査により想定していた研究目的を達成するための基礎データを収集し、今年度に進めることができた実証研究の成果と組み合わせて、申請時の研究計画に進捗状況を追いつかせ、研究目的の完遂を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航が難しい状況で、旅費の執行ができず、それを必要な資料購入にあてた結果、24円という非常に軽微な残金が生じた。この残金は翌年度の物品費に組み込み、資料購入等の経費として執行する予定である。
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