研究課題/領域番号 |
20K13541
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 淳平 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (50792496)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地方財政 / 軍事経済 / 南京国民政府 / 北京政府 |
研究実績の概要 |
2023年度には9月12日から17日に台北市、3月8日から18日に南京市に出張し史料収集を実施した。台北では中国国民党中央党部と国立政治大学中正図書館に設置されている党史館の閲覧室で南京国民政府期の軍事支出に関する文献を閲覧筆写した。1931年9月に発生した満州事変を契機として中国国民党内で空軍の詳細な整備計画が検討され、1931年11月の第4回全国代表大会、1932年の第4回中央執行委員会において国防のために空軍の整備を求める議案が提出されていたことがわかった。 南京では南京図書館で『南京図書館蔵民国統計資料』『上海図書館蔵民国調査統計資料』に収録されている北京政府末期から南京国民政府期にかけての江蘇省、福建省、湖北省、湖南省、広西省の省レベルの財政調査報告などを閲覧複写した。これらの資料集は南京図書館と上海図書館に所蔵されている民国期に出版された統計資料の影印版で日本国内の大学図書館には所蔵されていない貴重なものである。1925年に作成された『江蘇整理財政委員会報告書』には同省における財政と軍事支出に関する記述が多数含まれていることを確認した。また南京国民政府期には国家財政と地方財政が明確に分けられたため、省レベルの財政調査報告には地方財政の記述しかないものが多いが、1935年に初版が出版された『広西財政紀要』には広西省における国家財政の概況に関する史料が含まれており当時の同省における国家財政と地方財政の関係を知ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴う入国制限などの影響により2022年度までは海外の公文書館や図書館における史料収集を実施できなかったため、国内で入手可能な史料の読解を中心に研究を遂行しており、研究の進捗に若干の後れを生じていた。しかし、2023年度には入国制限措置の緩和などにより台北の中国国民党党史館と南京の南京図書館で史料収集を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度には可能であれば南京の中国第二歴史档案館での史料収集を実施したい。昨年度同館に史料の閲覧を申請した際には外国人の受け入れに対して消極的な対応が見られたため、閲覧が許可されるかは不透明であるが、今年度も引き続き同館に閲覧を申請する予定である。また昨年度台北の中国国民党党史館と南京図書館で入手した史料の読解を進め、南京国民政府期の軍事経済と地方財政に関する論文の執筆を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大にともなう入国制限の影響で、2022年度まで海外の公文書館や図書館における史料収集が実施できず、旅費を執行できなかった。2023年度には台北と南京に各1回出張したが、執行の遅れを完全に取り戻すことはできず残余が生じた。
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