研究課題/領域番号 |
20K13545
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
田中 光 中央大学, 経済学部, 准教授 (00713017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域金融 / 政策金融 / 系統金融 / 地方経済振興 / 社会的企業 |
研究実績の概要 |
本研究は人々の生活を支える上で重要な公共財整備と、その整備にあたって利用される政策金融、およびそれらと連携を持ち地域経済・社会の現場に密着した地域金融がどのような働きを近現代日本で果たしたのかを検討するものである。 2021年度は前年に引続きコロナ禍の社会情勢にあったため、当初予定していた調査地での資料調査(主に長野県内)については進捗が難航している。情勢が改善し次第、調査活動を再開するための緊密な連絡は取れているが、目下のところは資料目録の整理作業を行っている状態である。 一方で前年に引続き、兵庫県加古川市における地方名望家資料と中小企業経営資料の一次資料調査は進んでいる。営業報告書や総勘定元帳などが発見されたため、本年はこちらのデータの分析に重きを置いた。結果として、本年度には明治中期から大正期にかけての経営状態を確認するためのデータ復元に成功しつつあり、基礎的な分析が可能になった。近日中にはこうした基礎データを踏まえて、地方名望家が明治期~大正期に形成していたその金融関係、地域の金融機関と政策金融との棲み分けや利用状態についての分析にも注力できそうな状態にある。 また、近代日本における政策金融と系統金融の機能とその重要性について国内外での周知が足りないことを踏まえ、現時点までで蓄積されている研究成果について国際的な発信への試みを本格化した。国際学会での報告だけでなく、既存の原稿の英訳と校閲を進めることで、近代日本の金融制度に関するアウトリーチ活動が活発化できるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に引続き2021年度も新型コロナウィルス流行のため、首都圏から他地域への移動が憚られる事態がかなり続いた。そのため、当初予定していた各地の一次資料の調査・確認・閲覧・撮影については限定的な実施状態に留まった。 しかし新規資料収集には限界があるものの、既存のデータの分析や他言語への翻訳、新規論文の執筆作業といった活動については順調に進んでいる。当初計画からは一定度の方向性の転換があったが、その上で研究進捗は順調なものと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は2021年度の成果を踏まえ、研究成果の各種媒体での発表や公表に向けた活動に力点を置いていくこととする。具体的には国内外における学会・研究会報告、蓄積した研究成果の英訳、論文をはじめとした新規原稿の執筆である。その傍らで、情勢が許す限りの新規資料調査活動を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行により、資料調査や学会への出張を行う計画が大幅に削減された。そのため旅費支出が当初予定よりも大幅に減少した。一方で、既存原稿の英訳および英文校閲を依頼し始めたため、その他支出の形でそちらへの支出が増大している。この英訳・英文校閲の作業は本年度だけでは終了していないため、次年度も引続きそのカテゴリでの大きな支出が続く予定である。
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