研究課題/領域番号 |
20K13550
|
研究機関 | 公益財団法人三井文庫 |
研究代表者 |
萬代 悠 公益財団法人三井文庫, 社会経済史研究室, 研究員 (00755093)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 近世畿内 / 土地法制 / 労働市場 / 地主経営 / 契約理論 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年度に引き続き、研究代表者が預かっている堺旧家の地主文書の整理を進めた。本年度では、研究代表者がアルバイトを雇用しながら、週1~2日(5~10時間)のペースで当該文書群の整理を進めた結果、10箱分の目録を作成することができた。その点数は3,336点に達する(ただし、煩雑を避けるために細かい断簡等は一括で1点としている)。内訳は、箱F(580点)、箱J5箱分(882点)、箱K4箱分(1,874点)である。箱Fには、18世紀から19世紀の譲請証文類、質物証文類、貸付証文類、箱Jには、19世紀中頃の悉皆調査関係史料、19世紀前半から19世紀中頃の役印取遣控帳、17世紀および19世紀後半の地並帳・名寄帳、19世紀前半の五人組帳、19世紀後半の戸籍帳、18世紀の御触書願書留帳、19世紀後半の廻状・布令関係史料、19世紀前半から19世紀中頃の村方請印帳、18世紀から19世紀中頃の申渡・触請書関係史料、19世紀前半から19世紀中頃の村小入用関係史料、19世紀中頃の赤畑村社倉囲籾関係史料、近世の人別送り状、19世紀後半の諸入費関係史料、19世紀中頃の正米出入勘定帳、19世紀前半の家賃取立帳、19世紀の婚礼諸記録史料、18世紀から19世紀の下作宛米帳、19世紀後半から20世紀前半の雇用労働関係史料、箱Kには、19世紀前半から19世紀中頃の御触書御廻状留帳、19世紀中頃の村小入用関係史料、19世紀中頃の「取締役」取次関係史料、18世紀から19世紀の宗門人別改帳、19世紀前半の公務礼節雑記、18世紀から19世紀の宗門人別改帳、近世の人別送り状、万代八幡宮関係史料、冥加献金関係史料、19世紀中頃の江戸書状類、19世紀中頃の御用状類、19世紀中頃の御救米関係史料などがある。2020年度に引き続き、目録には、史料1点1点の表題、和暦、西暦年月日、形態だけでなく、史料の概要を記し、作成者と宛先も漏らさず記しているので、当該目録は今後の研究に大いに有用である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス蔓延により、勤務先では時短勤務となり、アルバイトの受け入れ日数・人数にも制限がなされたので、当初予定していたよりも分析作業は遅れている。しかし、夏頃より制限が緩和されたので、目録作成などの史料整理は順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者が預かっている堺旧家の地主文書は、文書箱40箱に納められている。2021年度では、そのうち、2020年度とあわせて17箱分の目録作成を完了した。40箱の内訳について は、30箱が概ね17世紀から19世紀の史料であり、残り10箱は基本的に20世紀前半の史料である。したがって、当面は30箱の目録整理を終えることが目標であり、2022年度では30箱中の残り13箱の整理を進める予定である。当初の研究目的である地主経営の分析については、史料が膨大であり、コロナ禍の影響により史料整理が十分ではなく、いまだ難しい面がある。ただし、地主の金融活動に関する史料についてはかなりの程度全容がわかってきたので、作業の進捗状況によっては、それに関する分析も進める予定である。もとより、この基礎分析も、地主経営を十分に理解するために必要な作業である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由については、新型コロナウイルス蔓延により、旅費が使えなかったこと、アルバイトの雇用も制限されたことが大きな要因である。次年度においてはこれらが緩和されるので、旅費やアルバイト謝金に用いる予定である。
|