研究実績の概要 |
2022年度は、2021年度に引き続き、研究代表者が預かっている堺旧家の地主文書の整理を進めた。本年度では、研究代表者がアルバイトを雇用しながら、週1日(5時間)のペースで当該文書群の整理を進めた結果、5箱分の目録を作成することができた。その点数は2,276点に達する(ただし、煩雑を避けるために細かい断簡等は一括で1点としている)。内訳は、箱K3箱分(1,287点)、箱L2箱分(989点)である。箱Kには、19世紀前半の社倉関係史料、19世紀後半の証書類、豪農・村役人同士の廻状・書状類、戸長・地主同士の書簡類、箱Lには、18世紀後半から19世紀前半の村入用関係史料、19世紀前半の御用留類、豪農・村役人同士の書状類などがある。2021年度に引き続き、目録には、史料1点1点の表題、和暦、西暦年月日、形態だけでなく、史料の概要を記し、作成者と宛先も漏らさず記しているので、当該目録は今後の研究に大いに有用である。新型コロナウィルスの蔓延により、2020年度からの史料整理作業に遅れが生じたので、2022年度においても地主関係史料をすべて整理、分析することが叶わなかった。ただし、2022年度までの整理作業において発見、整理することが叶った救荒関係史料を用いて、豪農の地主経営の一部と金融業、領主の公金貸付と救荒についての研究成果を発表することができた。この作業を通して、豪農の経営選択についての理解をより深めることが可能になった。
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