本研究の目的は、経営学のアプローチと政治学・行政学のアプローチとを接合することにより、産官学連携、起業、産業集積について新たな因果関係の発見・同定やこれまでの因果関係のメカニズムの進化を目指すことである。 本研究の最終年度となる令和5年度は、本研究の初年度となる令和2年度から令和4年度前半頃まで新型コロナウィルス禍により実施することができなかった現地フィールド調査を行った。併せて令和3年度から始めたオンラインでの調査も引き続き行った。 本研究で調査を行った地域は合計20地域である。本格的な調査を行った地域は、北海道札幌市(IT・バイオ)、山形県鶴岡市(バイオ)、福島県会津若松市(IT)、新潟県新潟市(農業・機械)、長岡市(機械・エレクトロニクス)、三条市・燕市(金属製品製造・加工業)、静岡県東部地域(機械・医療・健康関連)、中部地域(食品関連)、浜松地域(光・電子技術関連・医療)、愛知県大口町(機械)、関西国際戦略総合特区(医療関連)、徳島県徳島市(LED・バイオ)、福岡県北九州市(機械・エレクトロニクス)、福岡市(IT・バイオ)、鹿児島県鹿児島市・霧島市(農業・バイオ)、沖縄県那覇市(IT・バイオ)の16地域である。( )内は、各地域で主に調査対象とした産業である。探索的な調査を行った地域は、富山県富山市、岐阜県岐阜市、愛知県豊田市、三重県鳥羽市の4地域である。 本研究では、地域により地方行政の産官学連携、起業、産業集積の政策、予算、制度は、かなり幅があり異なる部分も存在することが明らかになり、企業等の組織が産官学連携、起業、産業集積を進めるためには、地方行政の政策、予算、制度に合った組織体制の構築やマネジメントを行う重要性が示唆された。
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