本研究では組織開発(OD)の手法の一つであるappreciative inquiry summitという変革プロセスを参考に、ファミリービジネスで起業家的な活動を推進するプロセスについて検討した。事業承継型ベンチャー(アトツギベンチャー)の育成が、通常のスタートアップ育成や大企業の変革と何が違うかを一部、明らかにした。若い世代が事業承継するという前提から、学生のイノベーション創発プロセスに着目し、低レベルなプロトタイプでもいいから早くつくり見せることの重要性がわかった。このほか、ファミリービジネスで重視される社会情緒的資産の要素が、アトツギベンチャー育成事業で欠けていることが明らかになった。
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