研究期間を1年延長して迎えた2023年度までに1)ソーシャルメディア型のプラットフォーム・エコシステムの成長の停滞や成熟してからの再拡大などの事例、2)およびそれらを統合的に分析する理論的な枠組みを整理するための文献レビューに基づいた論文の全てが学術誌に採択された。 1)については、2023年度に2本の論文を執筆(改定)しいずれも学術誌に採択された。具体的には1a)一度衰退しかけたエコシステムが、自らの持つ境界資源を見直すことで、従来のターゲットとしていた補完者とは異なる層の補完者からのエンゲージメントを引き出し、事業を成長させるプロセスに焦点を当てた論文である。当該論文は、本報告書作成時点において、学術誌から採択され掲載待ちのステータスである。もう1本の論文1b)は、既に一定数のユーザー数を獲得した既存プラットフォーム・エコシステムが存在する市場に対する後発者の新規参入戦略に焦点を当てた論文である。後発者の視点に立ち参入戦略を分析することで、本研究課題の主たるテーマである「エコシステムの衰退」プロセスを明らかにすることが目的である。 2022年度終了時点で、1a)の論文の査読プロセスの中で、追加で収集すべきデータ等が明らかになったため、研究期間の大半を追加データの収集に費やす必要があったため、研究期間を延長することとした。本課題を通じて執筆した3本の原著論文と1本のレビュー論文を統合し、本研究課題の問いに対する統合的な理論的貢献を明らかにすることを目的とした研究書の執筆を開始したのが2023年度末の時点の成果である。
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