研究課題/領域番号 |
20K13565
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
北 蕾 中央大学, 社会科学研究所, 客員研究員 (70868322)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国民営中小企業 / 事業承継 / 経営ネットワーク / 経営活動 |
研究実績の概要 |
昨年度(2021年度)は、COVID19の感染拡大により、フィールドワーク実現が困難になったが、昨年の10月から現地関係者へのWebインタビュー調査を断続的に実施した。その結果、今年の4月までに調査地域における中小企業管理部門の責任者へのWebインタビュー調査をほぼ完逐させた。この現地政府責任者へのインタビュー調査を通して、中小企業の事業承継に対する地域政府としての支援政策や支援活動および問題点などを確認した。 また、昨年5月頃、調査地域の遼寧省においてCOVID19の感染状況が収束に向かいつつあったため、フィールドワークの開始に向けた準備を進め調査対象企業の経営者とのアポイントメントを取りつけたが、調査対象地域の隣の県で感染者発見され再び行動制限が強化されたため実地調査を断念せざるを得なかった。そこから、急遽Webインタビュー調査に切り替え、6名の企業経営者へのインタビュー調査を実現した。Webインタビュー調査は、調査対象それぞれのネット環境に応じて進めていたため、調査項目ごとの進捗状況が完全に一致しないものの、「後継者の選択経路」「育成手法」及び「承継方式」について確認した。こうして明らかにした内容について、企業所有形態(家族企業と非家族企業)による回答内容の相違点もまとめた。 昨年度は、COVID19の影響で、十分なフィールドワークができないものの、ウィーチャットやzoomを活用しながら、研究データの収集作業を前に進めた。しかしながら、中国のゼロコロナ政策の継続により、全体的な研究計画に遅れが生じていると言わざるを得ない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19の感染拡大の収束が見えず現地調査ができなかったため、Webインタビュー調査を代用することになった。しかし、本研究の調査対象は二世代の企業経営者であり、一代目の企業経営者には年配のためオンライン調査に慣れていない者が多く、また中国のネット環境の不安定さもあり、度々インタビュー調査中のトラブルの対応に時間を取られ、調査スケジュールの進行に遅れが生じてしまっている。また、若い世代の企業経営者については、中国現地のゼロコロナ政策により、経営と経営者個人の活動に大きな影響を受けており、予定していた調査時間を確保できないケースもしばしば発生している。したがって、こちらのWebインタビュー調査でも、調査対象者のネット環境によるトラブル対応に加え、度重なるインタビュースケジュール調整等への対応に多くの時間を取られてしまった。一方で、こうした突発トラブルに対応していくうちに、調査対象者である企業経営者たちとの間での相互理解と信頼を高められたと感じている。このことは思わぬ副産物ではあるが、今後の調査のスムーズな展開に資することを確信している。
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今後の研究の推進方策 |
中国のゼロコロナ政策を踏まえて考えると、当面中国現地へのフィールドワークが困難である。したがって、今年度も、Webインタビュー調査を中心に引き続き質的なデータ収集に専念する。昨年度の試行錯誤をふまえ、今年度の進行が改善されると考えられることから、まずはスケジュールの遅れを取り戻し残りの調査内容を今年の秋頃までをめどに完成させることを目標にする。今年の秋以降、中国のCOVID19対策の状況を鑑みながら現地でフィールドワークを行い、これまでのフォローアップ調査を実施することも視野にいれるが、基本的には非対面的な調査に重点を置く。 今年度は研究助成の最終年度のため、昨年度は調査データの不足によって完成できなかった研究成果をまとめ上げるほかに、今年度の新たな調査結果(主に、二代目企業経営者の経営活動について)を加える研究論文を完成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の感染拡大の影響で、予定していた海外現地での実地調査や、中国中小企業の事業承継を取り上げる研究者との研究交流会、現地企業経営者たちとの研究交流会など実施できなかったためである。これらの一部は昨年度オンラインでの開催に切り替えたものの、今年度のCOVID19の影響をみて、状況が許す限りフィールドワークを実施し、対面インタビュー、対面交流研究活動を行う予定である。
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