研究課題/領域番号 |
20K13575
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
土屋 佑介 大阪産業大学, 経営学部, 講師 (70851765)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | キャリア / アイデンティティ・ワーク / 専門職 / 職種変更 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、研究職人材の職種変更に伴う職業的アイデンティティの変容過程を明らかにすることである。令和2年度は、研究職人材のキャリアに特有のアイデンティティの脅威とその対処方法に関する理論研究と調査準備を行なった。 まず理論研究の成果として、職業的アイデンティティ・ワークについて既存研究で明らかになっていること、および展望につながるリサーチ・ギャップを特定することを目的とした土屋(印刷中)を提出した。具体的には、スコーピングレビューに基づいて、職業的アイデンティティ・ワークに関する25文献を特定し、研究内容を要約表に整理した。その結果、東洋と西洋で異なる文化的自己観を持つという文化心理学研究を参照したアイデンティティ・ワーク研究は存在せず、今後の展望として期待できることが明らかになった。 次に調査は限られた範囲で実施しており、その成果を土屋(2020)として学会報告を行なった。内容としては、研究職からスタッフ職へと職種変更した元研究職がどのように職業的アイデンティティの脅威に対処しているかに関する現段階での調査結果を報告した。具体的な調査結果として、既存研究で説明可能な保持という対処と既存研究で説明困難な転用という対処を示した。また、元研究職が保持の際には粘り、転用の際には諦めという感情を作り出していることを示した。 最後に、データ分析や成果をまとめるにあたって必要な方法論的検討を土屋・辺見(2020)としてまとめた。具体的には、質的研究で注目されているGioia et al (2012) について、Eisenhardt (1989) のケース・スタディとの比較検討を通じて、認識論上の前提と研究の志向性、文献調査と先行研究の必要性、データの収集、データの分析、記述方法という5つの項目に分けて整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である理論研究と調査準備に加えて、現段階での調査結果をまとめた学会報告および、追加的な方法論的検討の実施を行なうことができたためである。ただし、令和3年度に持ち越した内容もある。例えば、土屋(印刷中)では、東洋と西洋で異なる文化的自己観を持つという文化心理学の知見を基に、日本における調査がアイデンティティ・ワーク研究に一定の意義をもつことを示した。しかし、日本における調査であれば、雇用慣行の違いや雇用に対する信念レベルの検討も必要である。この点については、土屋(印刷中)では限られた紙幅しか言及できていないため、令和3年度に持ち越すことにした。とはいえ、統合的に見れば、おおむね順調な進展だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、当初の計画通り、研究職から内勤職への職種変更後も優秀な業績を上げる人々へのインタビュー調査に着手しながら、最新のアイデンティティ・ワークに関する理論研究を補強する。調査に関しては、COVID-19 の流行・収束を加味しながら様々な代替的方法を用いて進めていく予定である。また、最新のアイデンティティ・ワーク研究に関しては、COVID-19 の影響を考慮した調査研究も増えつつあり、そのあたりも射程に含めつつ理論研究を進めていく。最後に、以上と並行して方法論的検討も併せて進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 の流行に伴い、旅費の執行ができなかった。また、学会報告の成果を英語論文へと投稿予定であったが、こちらも予定通りには進まなかったため、執行していない。以上の2つの理由によって、次年度使用額が生じることとなった。令和3年度もCOVID-19の流行・収束次第では海外学会への参加を通じて最新の研究知見を収集することに活用したいと考えている。また、英語論文を書き上げ英文校正に使うことでその他の執行を進める計画である。
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