研究課題/領域番号 |
20K13580
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研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
仙波 亮一 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (70823938)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アンガー / アンガーマネジメント / 非建設的行動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アンガーマネジメントプログラムを受講することにより、攻撃行動や対人関係からの撤退といった非建設的行動を低減できるかどうかアンケート調査を用いて検討することである。 職場では労働者が攻撃行動を起こしたり、対人関係から撤退したりするなどの非建設的行動を起こす傾向にあり、これらの行動を低減することが喫緊の課題である。この非建設的行動を取り込んだ自己本位性脅威モデルでは、否定的な外的評価を受けると、個人は自己評価とのズレから自己評価低下の危機を知覚する。その上で他者評価を受けいれない場合は、自己評価を維持したままで、自分を否定した他者に対して否定的な感情を抱き、攻撃行動を選択すると考えられている。逆に他者評価を受け入れると、自己評価が低下し、自分に対して否定的な感情を持ち、対人関係から撤退する。 当該年度において、職場における労働者の非建設的行動の先行研究の整理を行った。その結果、労働者が両行動(攻撃行動と対人関係からの撤退)に至る直前の否定的感情は様々だが、怒りであることが多く、怒りの感情をマネジメントすることが非建設的な行動の低減に有効であることが再確認された。ただ、非建設的行動を低減するための具体策は検討されておらず、労働者がアンガーマネジメントプログラムを受講することにより、非建設的行動の低減に有効であるかを調査し、最終的に組織における労働者の非建設的行動を低減させるための施策について検討することは有意義であることを理解した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究が遅延している理由として以下の2点が挙げられる。 第1に、コロナウイルス感染症予防の観点からアンガーマネジメントプログラムの実施が困難であったことである。研修を実施するためには、密閉、密集、密接を回避する必要があり、コロナウィルス感染症がおさまるのを待ったが、緊急事態宣言の発令等で研修開催の時期を逸してしまった。 第2に、前任校の倫理審査委員会より、異動後の着任校の倫理審査委員会において審査を受けるべきとの指摘を受けたため、アンガーマネジメントプログラムの実施を延期せざるを得なかった。代表研究者は、前任校の倫理委員会にて審査を受けたが、本年度から異動した京都橘大学の方で倫理審査を受けるべきとの指摘を受けた。そのため、現在京都橘大学の倫理審査委員会で審査を受ける準備をしている。
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今後の研究の推進方策 |
次の流れで研究を推進していく予定である。①協力企業より研究参加者を募り、ランダムに介入群と対照群に割り付ける。②介入群に対して、事前アンケート調査、アンガーマネジメントプログラム、事後アンケート調査を実施する。③対照群に対して、同時期に事前アンケート調査と事後アンケート調査を実施する。④対照群に対して、フォローアップ研修を実施する。⑤事前・事後アンケート調査の結果を分析する。⑥その結果に基づき、アンガーマネジメントプラグラム受講者の中から協力者を募り、インタビュー調査を実施する。⑦インタビュー調査結果の分析。 アンガーマネジメントプログラム及びその後のインタビュー調査の実施については、コロナ感染症予防の観点から、コロナ感染症予防拡大の危険性の低い時期に実施し、場合によっては実施を延期する予定である。また、実施する際には、感染予防の留意点について事前に受講者及び協力者にメール等で通知し、会場入り口において非接触型体温計での体温測定を義務付ける。さらに、受講及びインタビュー中はマスクの着用、三密の回避を徹底する(座席の間隔を十分にとり、窓を常時開放する等)。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンガーマネジメントプログラムを実施予定であったが、コロナ感染症の流行により延期を余儀なくされたため、次年度使用額が生じた。2021年度においては、以下の支出を予定している。第1に、アンガーマネジメントプログラム実施に際し、会場費、講師謝金、資料コピー代を支出する。第2に、アンガーマネジメントプログラム受講者へのインタビュー調査を予定しており、本務校とインタビュー会場との往復旅費、テープ起しを業者依頼する際の費用を支出する。第3に、学会発表に際しての旅費、参加費を支出する予定である。
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