研究課題/領域番号 |
20K13583
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
一小路 武安 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80636390)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 経営戦略 / トップマネジメントチーム / 多角化 / ダイバーシティ / イノベーションマネジメント |
研究実績の概要 |
前年度はUpper Echelon Theoryや多角化に関して、単年度のデータに基づいた分析を行っていたが、当該年度は時系列という研究計画に沿って、複数年度にわたるデータベースの構築を行った。この際にUpper Echelon Theoryに関してはジェンダーに関してより理論的に精査することが必要となったため、この点検討を行った。また、多角化に関しては、ダイナミックケイパビリティの概念の転用可能性が示されたため、この点について分析を行っている。 また、同様に環境という観点から、以下の二つの研究を行った。一つはコロナ禍であるという環境が人の行動にどのように影響を与えるかについての検討である。この分析では年齢による行動変容の分散の大きさについて示されている。さらにマクロ環境という観点から景気や政策によるIPOへの影響について検討を行った。この分析では、環境が良くなるからといってIPOまでの時間が短くなるという単純な構図が描けないことが明らかになった。 最後に、時系列と環境という二つの影響を同時に考慮した研究については大きく二つの研究を行っている。一つ目は、新技術が登場した際に経営者や技術者などが集まる組織がどのように対応するのかという点について、これまでの研究を海外に向けて発信するように出版という形でまとめたということである。二つ目は、企業がアプリをリリースして成長させていく(時系列的視点)にあたり、消費者が当該アプリと同時に使うアプリをどのように扱うべきか(環境的視点)の分析を行っている。 今後の研究では、当該年度に構築した複数年度のデータベースを基に定量的分析を行っていくと同時に、ポストコロナに合わせてインタビュー調査を改めて行い、経営者の考え方についての定性的な分析を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度は当初の計画から変更を迫られたため、研究進捗に滞りがみられたが、本年度はコロナに合わせた研究が予定以上に進んだため、業績という点では多くの成果が得られたと考えている。国内・海外ジャーナルにも論文が掲載されただけでなく、海外の出版社からも研究内容をまとめた本を出版することができた。したがって、本年度は計画以上の進展があったと判断してよいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度については十分な研究成果が得られたと考えているが、一方で今後の研究課題がないわけではない。一つは海外のトップジャーナルへの挑戦がまだ十分ではないという点である。そのため、今後は当該年度に構築したパネルデータを基にしたより充実した分析を行い、海外学会・ジャーナルへの投稿を目指したい。 もう一つは定性研究への回帰である。当該年度までは直接対面してのインタビューが行うことができず、十分なデータを得ることができなかった。今後、様子をみながら、定性的な検討を行うことで、新しい研究に取り組みたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
英文校正の費用を事前に明確に見込むことが難しかったため、少額のあまりが生じている。次年度も英文校正を中心に支出する予定である。
|