研究課題/領域番号 |
20K13585
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
後藤 将史 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (20868278)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 専門職 / 人工知能 / デジタル化 / クロステック産業 |
研究実績の概要 |
2022年度は、これまでに収集したデータ・分析結果を活用し、追加的な研究成果の発信に注力した。具体的には、研究内容の各項目につきそれぞれで次の成果を挙げた。
1.監査の専門職:複数の海外査読付論文誌への投稿を行った。これらは、国内4大監査法人の事例研究を様々な理論的視点で分析し、専門職のあり方に対して人工知能がもたらす変化と新しい理論的可能性を検討したものである。また2021年度に公刊した海外査読付論文が、掲載論文誌において年間最優秀論文賞(Best paper 2021-2022)を受賞した。同論文は、前年に同誌に掲載された論文と共に、掲載誌ウェブサイトでの論文閲覧回数ランキングTop5に2022年度末まで定期的にランクインしている。同誌は専門職の組織論研究を主導するトピックジャーナルで、歴史はごく浅いが特に人工知能と専門職について複数の影響力ある論文を掲載している(創刊直後にABSランク2を取得)。 専門職と人工知能に関する研究領域は、トップジャーナルを含めて各国の研究者が研究成果の発信を活発化させており、人工知能と経営・組織の変化を理解する上で重要な一分野となっている。これに対して、日本から豊富なデータを元に先駆的な国際発信を行い、黎明期の研究系譜形成に貢献している点が本研究の最大の意義である。 2.法務の専門職:海外研究者との共同研究を継続し、海外査読付論文誌への投稿と国際学会発表1本(査読付)を行った。同研究では、創業者の社会的アイデンティティの理論的視点から、専門職出身の起業家がその他の起業家と異なる特異なアイデンティティ形成を行い、それが戦略的意思決定にも影響をすることを示した。 3.専門職横断の視点:専門職を横断した変化について、海外研究者との対話を行った。特に、対象となり得る比較の視点およびそこから導出される理論的可能性について探索を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで3年間で海外査読付論文2本公刊、その他論文4本公表、影響力ある欧米学会での発表5本が終了し、所期の予定を大きく超えて推移している。研究期間を通じて感染症の社会的影響でフィールドワークへの大きな制約が生じたが、リモート等で可能な代替的データ収集を行い、過去に収集していたデータと組み合わせて成果を挙げることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
延長となる2023年度は、既に投稿済で査読が継続している論文が存在するため、主にこれらについて、最終的な採択に向けた論文修正・再投稿・それらに必要な追加データ収集・本研究に関する学会での情報交換を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間前半に、Covid-19の影響を受け予定していたフィールドワークが実施できなかったため、次年度使用額が発生した。 2023年度は、これまでの研究活動で査読中となっている投稿済み論文の採択と発信に向け、論文修正・発信に向けた他研究者との情報交換などを行う予定である。
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